BizRobo! mini
急務となったリモート対応を機にDXを本格化。 可視化した作業の時間を、BizRobo!が最大98%削減
Highlight
- コロナ禍を機に、事務部門のDXを本格化
- 既存業務を可視化した中からRPAの適用対象を選定
- 半日の作業が5分に。成果を踏まえ、開発体制強化へ
福岡市にある社会福祉法人恩賜財団済生会 福岡県済生会福岡総合病院は2022年、DX戦略の一環として院内事務の可視化が進展したのを機に、かねてより検討していたRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入を決定。
医療界での導入実績が豊富な点を評価し、RPAテクノロジーズ株式会社が提供するRPAツール「BizRobo! mini」を採用した。当初から外部に委ねることなく、自前で運用を完結する方針の同院は、事務各部門の代表者を通じてRPA化の対象業務を選定後、所属するシステムエンジニアの手でソフトウェアロボットを開発。それまで半日を要していた手作業がわずか5分で完了するようになるなど、劇的な業務改善を達成しつつある。
今後は院外と知見の共有を進めながら院内のRPA開発者養成を進め、各部署での自律的な運用を目指す計画だ。
導入背景コロナ禍を機に、クラウド移行のため業務量調査を実施
可視化された業務の改善に向け、RPAの導入検討が本格化
福岡市中心部に380床の病床を持つ福岡県済生会福岡総合病院は、重症以上の患者を受け入れる福岡地域5カ所の三次救急医療機関のひとつ。2019年に開設100周年を迎え、現在1,000人近くが勤務する総合病院だ。
院内専用のシステムと紙書類を多用していた同院では、新型コロナウイルス感染拡大を機に、約120人いる事務職員の在宅勤務が進まないなどの課題が表面化。2021年4月、事務各部門の代表者を集めた「DX戦略チーム」を、院長直轄で新設した。
同チームは、紙を介したタスクを中心に業務量調査を行い、作業内容や時間、頻度を可視化。その上でクラウド移行を進め、回覧板からWebサービスに切り替えた議事録の稟議では、1カ月を要した決裁が1週間以内に完了するなどの成果を達成した。
業務の実態把握が進んだことに伴い、数年前から懸案だったRPAも導入が本格検討されるようになった。
BizRobo!を 選んだ理由「医療界共通の経営課題を解決したい」
近隣を含む業界内で知見が共有できる体制を評価
事務部門が抱える定型作業の効率化に向けて、複数のRPAツールを比較検討した同院は、医療機関の導入実績が多い「BizRobo!」の採用を決定。2022年1月から3カ月のトライアルを経て、同年4月から本格運用を開始した。
事務部門を束ねる医事課の係長で、DX戦略チームのリーダーも務める田中健一氏は、BizRobo!を選んだ理由を、こう説明する。
「医療界では、診療報酬の請求業務など業界特有の事務が多く、また勤務医の業務負担軽減といった経営課題も共通しています。そのためRPAの活用にあたっては、病院間の横のつながりを生かし、先行事例に学びながら進めることが肝要と考えていました。そこでツール選定においても、価格・機能面のほか、『一般社団法人メディカルRPA協会』を通じて知見が共有できることや、近隣を含む医療機関での実績を評価し、BizRobo!の採用に至りました」
対象業務症例登録、メール個別送信などのロボットを自前で開発
AI-OCRとの併用で、紙帳票の入力作業も効率化
BizRobo!の開発運用を外部に委ねることなく、自前で完結する方針の同院は、まずシステムエンジニアである島添敦氏が、トライアル期間中からe-ラーニングでツール操作を習得。オンラインでのサポートなどを利用しながら、ソフトウェアロボットの試作を重ねてきた。
現在同院では、「患者退院時に記録された症例データのCSVを毎月Excelファイルに変換し、各月およそ20例に関する約2,000項目を症例登録サイト『日本脳卒中データバンク』に転記するロボット」および「一斉送信すると受信側の環境で迷惑メール扱いされるおそれがあるURL入りのメール約150通を個別送信するロボット」の2種類が実務に活用されている。
さらに、紙帳票の記載をデータ化できるAI-OCRのソリューション「BizRobo! OCR with AI inside」を併用し、外部業者から届く請求書に記載された価格をシステムに転記する作業のロボット化も進めており、近く実稼働に入る予定だ。
患者退院時に記録された症例データを症例登録サイトに転記する業務
導入効果「半日→5分」「2時間→30分」
劇的な時間短縮に加えて精神的な負担軽減も
BizRobo!の活用によって同院は、従来1回あたり2時間かかっていた毎月の症例登録作業を30分まで短縮。また従来およそ半日(4時間)を要していたメール個別送信の手作業は、わずか5分まで短縮された。
業務量分析などを通じて既に手順が可視化されている作業の中から、実装が容易で、より多くの時間短縮効果が見込めるものから着手した結果、即効的な導入効果を印象づけることに成功。事務部門の各所から、さらなるロボット化の要望が寄せられている。
これは、時間短縮という定量面にとどまらないメリットが、事務の現場に支持されているためでもあるという。「診療部門の症例登録や、外部の医療機関の責任者宛てに会議のURLをメールで送る作業は、単純ではあるが決してミスの許されない作業です。実務担当者を作業から解放し、労力を軽減しただけでなく、精神衛生的にも大きな効果がありました」(新田氏)
完全版事例をダウンロードしてご覧いただけます
CORPORATE PROFILE
- 社名
- 社会福祉法人恩賜財団済生会
福岡県済生会福岡総合病院 - 事業内容
- 医療機関
- ウェブサイト
- https://www.saiseikai-hp.chuo.fukuoka.jp/
- 話を伺った方
- 医事課 係長 兼
経営分析室 室長 DX戦略チーム チームリーダー
田中 健一 氏
経営企画課・経営分析室 DX戦略チーム サブリーダー
新田 怜 氏
情報システム室 DX戦略チーム
島添 敦 氏
- ここまでの内容に加えて下記を追加
「今後について」
「現場の声」 - 印刷用PDF(フルカラー)4ページ