BizRobo! ブログRPAの開発や運用に役立つ情報を配信
2019年10月25日(金)、日立システムズ様の“共創のためのインテグレーションスペース”である「ソリューションスクエア東京」(東京・大崎)において「RPAによる業務効率化セミナー」が開催されました。セミナーのテーマは「働き方改革 業務効率の向上へ向けて」。本ページでは(または今回は)、当日行われた(または当日実施された)RPA女子プロジェクトを推進する株式会社MAIAのCEO 月田有香様による基調講演と、日立システムズ様のRPAの取り組み事例紹介の内容をお伝えします。
はじめに。導入が進むRPAの運用のヒントに
日立システムズ様は、幅広い規模・業種にわたる業務システムの構築と、データセンター、ネットワークやセキュリティの運用・監視センター、コンタクトセンター、全国約300か所のサービス拠点などの多彩なサービスインフラを生かしたシステム運用・監視・保守が強みのITサービス企業です。近年はRPAサービスの提供も行い、RPAツールの1つとして当社「BizRobo!」シリーズも採用いただいています。
RPA普及促進のため、定期的にセミナーや勉強会を開催しており、2019年2月・6月には「RPAによる業務効率化セミナー」が開催されました。今回は、3回目となる同セミナーに参加。当日の内容をお伝えします。
開会挨拶に登壇されたのは、日立システムズ ビジネスクラウドサービス事業グループ ビジネスクラウドサービス営業統括本部の小田洋司本部長です。小田本部長は「導入にあたっての“敷居の低さ”から、RPAはすでにソリューションとして世の中に認知されている」との見解を述べたうえで、次のように指摘しました。
「ある調査によると、日本企業の74%がRPAを導入しているものの、実際に本番環境で活用している企業はそのうち5%に満たないそうです。お手軽だけど運用が難しいと、人材づくり、ルールづくりがネックになっているのだと思います。今日のセミナーが運用のヒントになればうれしく思います」(小田本部長)
【基調講演】オンラインの教育プログラムで女性のキャリアを支援!RPA女子プロジェクトの現状
最初のセッションには特別講師として株式会社MAIA CEOの月田有香様が登壇。基調講演「RPA技術者育成について RPA女子プロジェクトの状況」を行いました。
かつてコンサルタント会社へ在籍していた月田様。しかしあるとき「ミュージカル女優になりたい!」と脱サラし、役者に転身されたという経歴をお持ちです。2015年には演劇による組織改革・意識改革・研修=“劇革”を提供するCheers株式会社を設立。さらに2017年には「人とテクノロジーを繋ぎ 新しい働き方を創出する仕組みを創ること」をミッションに、株式会社MAIAを設立しました。
RPA導入・運用の“3大障壁”
月田様はセッションのなかで、RPA導入・運用の“3大障壁”として「業務選定の難しさ」「人材育成」「デジタルレイバー拡大におけるマネジメント」を挙げ、「なかでもRPA人材を会社のなかで教育・育成するのが最も難しい」と言及。その対策として、月田様は2018年5月7日、RPAテクノロジーズ株式会社、株式会社Waris、株式会社ブイキューブとの協働で「RPA女子プロジェクト」を立ち上げました。
「再就職もしくは復職したいけど、子育てで無理……」
と言う女性が全国に44万人以上いると言われています。RPA女子プロジェクトではそうした女性に、オンラインでのセミナー、演習、仮想OJT、そして認定試験等の教育プログラムでRPAスキルを身に着けていただく。そしてRPAを活用したい企業・団体にマッチングし、子育て・家族の転勤・介護等を行う女性の再就職・復職・在宅ワークを支援します。現在、RPA女子の数は国内外約800名に達しており、プロジェクト発足後の18年9月、NHK『あさイチ』に取り上げられた後には、なんと5,000名ほどの応募がありました」(月田様)
「慣れる→拡大・運用する→完全自走化する」プロセス
企業で推進されるRPAプロジェクトの理想形として「最初に第三者を外から招き、小規模にロボット開発を行った後、だんだんと現場の社員がロボ開発を覚える——そんな『慣れる→拡大・運用する→完全自走化する』プロセスが理想」と月田様。RPA女子プロジェクトのサービスは、初期の環境設定の段階からリモートでの開発環境が整備されるため「社員の方がリモートで運用していく」等、後の完全自走化の一助にもなります。
また、RPA女子プロジェクトの教材には「BizRobo!Basic」が採用されており、月田様は「BizRobo!はサーバー型なので、拡大に強く、どこからでも管理がしやすい」とも話されました。
「RPAの学びには、終わりがありません。事実RPA女子の皆さんはHTMLやJavaのことなども学びたくなっているようで、今後はそうしたRPA周辺のソリューションも学べるような仕組みを考えています」(月田様)
【日立システムズ様】RPAを導入した“だけ”では不十分。「定型業務自動化支援サービス」の紹介
続いて、日立システムズ様のRPAに関するサービス紹介が行われました。最初の登壇者は同社デジタライゼーション推進統括本部 RPA推進センタ 主任技師の玉井学様です。
約50業務でロボットが稼働し、月3,600時間以上の工数削減を実現
日立システムズにおけるRPAの歴史は2013年にまでさかのぼります。同年発足した「業務自動化検討プロジェクト」においてRPAに関するリサーチを開始。翌年から自社内でRPAによる業務効率化の実証実験を行い、「バックオフィスにおける入力作業効率化」「紙帳票の電子化」「長時間残業防止」「未検収フォロー」等々の業務にまで適用対象を拡げながら、現在までに約50業務でロボットが稼働しています。玉井様は「月3,600時間以上の工数削減を実現している」と、その効果を実証。
それらの社内実証を経て、同社はパッケージ化されたRPAサービスを独自に開発。2015年からは「定型業務自動化支援サービス」を提供しています。
「当社のRPA導入支援実績は、累計200社を超えており、サービスの特長は各種RPAツールを他ツールと連携させることで、スケジュール実行管理や表計算でのデータ処理の効率化も図れる点。RPAを導入しただけでは、完全な業務自動化は進まない。『経験に基づく判断』や『デジタル化』のため、AIやAI-OCRとの連携も行えるようにしたい」(玉井様)
【日立システムズ様】BizRobo!導入で5名分の作業効率化が実現した事例も!「業務効率化支援サービス」の紹介
玉井様の後を受け、次に講演されたのは、同社コンタクトセンタ&ビジネスサービス事業部 BPOシステム構築本部 BPOビジネス推進部 BPO設計グループの吉村貴裕様。2019年4月から同社が提供している「業務効率化支援サービス」について紹介されました。
業務効率化支援サービス
「企業における業務の現状分析・可視化による現状把握を支援するとともに、その後の改善提案・構築支援としてRPAやAI-OCRなどを用いた業務効率化、さらにはBPO(運用支援、アフターサポート)までをトータルで支援する」というコンサルティングサービス。RPA導入の際には、ツール選定支援から、作成・教育・運用の支援まで、きめ細かく対応します。
「ある会社では、受注業務時のマスターチェックにBizRobo!を導入しました。その後、当社がBPOとしてお受けしていますが、8名から3名への人員削減を実現しています。『適切な提案』『ワンストップ』『実績と経験』が同サービスの強み。お客さまごとに異なる課題やお悩みに対して、トータルに対応できるサービスです」(吉村様)
最後に
RPAテクノロジーズは、2015年12月、日立システムズ様と業務提携を締結しています。以降、同社が提供するRPAのツールとして「BizRobo!」を効果的に活用・運用していただいています。
また、2019年2月には両社の協業で「BizRobo! mini」導入企業向けのヘルプデスクサービスの提供を開始。企業からの「BizRobo! mini」に関する利用方法や障害を含む問い合わせに対し、ユーザー目線でサポートを行っています。
国内のRPA導入を進めるためにも、今後も両社のコラボレーションにより、RPAの社会的拡充に努めていきたいと考えています。