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近年、さまざまな業界で人手不足が深刻化しており、業務プロセス効率化が早急の課題となっています。製造事業を展開している製造業界の企業でも同様に、人手不足が課題となっている中、DXの取り組みや業務プロセス効率化に向けた取り組みが活発化しています。 しかし「製造業でRPAってどう使われているの?」「製造業の具体的なRPA活用事例を知りたい」など疑問や興味を持っている方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、製造業界が直面している課題についてご紹介し、課題の具体的な対策やRPAを活用した実例をわかりやすく解説します。
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日本が直面している人手不足の課題
国内では少子高齢化による、課題が様々なところで浮き彫りとなってきています。その中でも、特に重要な課題として国や自治体、民間企業含め対策を進めているのが、労働人口減少の対策です。
総務省が発表した国内の調査レポート「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」によると、生産年齢人口は1995年をピークに、総人口も2008年をピークに人口減少に転じており、人口増加は見込めないことがわかります。
また、総務省「国勢調査」では、2015年の総人口(年齢不詳人口を含む)は1億2,709万人、生産年齢人口(15歳~64歳)は7,629万人となっており、14歳以下の推計人口は1982年から連続して減少が続いています。このような状況下、各業界では人手不足が深刻化しており、特にサービス・医療・小売・製造の各業界では、早急の人手不足対策が求められています。
製造業が直面している課題とは
本記事で焦点をあて解説する製造業界の人口不足は、どれほどの人手不足となるのでしょうか。
パーソル総合研究所の調査レポート「労働市場の未来推計2030」によると、サービス、医療・福祉に次いでものづくりに関わる卸売・小売業界や製造業界の人手不足が予測されており、実際に現段階でも卸売・小売業界や製造業界の人手不足が大きな課題になっているのは説明するまでもありません。2030年の未来推計には、製造業は約38万人不足するという予測結果も出ています。
出典:パーソル総合研究所「労働市場の未来推計 2030」
また、製造業を中心にものづくりの事業を展開している企業は、その事業の特性上、業務や作業が属人的になりやすい傾向にあるため、業務平準化及び自動化が進んでいない傾向にあるようです。
製造業に関わるものづくり企業の経営者課題を独立行政法人労働政策研究・研修機構 (JIPT)が調査したデータによると、大企業も中小企業も「人手不足」を経営課題として捉えており、さらに「人材育成・能力開発が進まない」問題も深刻な経営課題となっています。
関連記事:製造業の人手不足問題の原因とその対処法とは?人手不足対策を徹底解説!
このような人手不足の課題に対して、企業が取り組み始めているのがDXやスマートファクトリーなどデジタルを活用した生産性向上や新たな事業価値創造です。製造業のスマートファクトリー化や製造業DXによる、事業の生産性向上を促進する取り組みは近年重要視されています。デジタル活用や人手不足対策など含めDXによる新たな事業価値創出について、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
製造業のデジタル化の課題と製造DX
製造業ではAIやIoTを活用した生産ラインのデータ取得・分析やデジタルを活用した生産のリードタイム短縮など、スマートファクトリー化が多くの企業で進められています。しかし、生産のリードタイム短縮やデータ分析による生産工程改善進めるにあたり、現状のデータや数値が正しく取得・分析できていないと、現場への正しい指示が出せません。
DXに向けたデータ活用と業務プロセスの効率化
製造業のバックオフィスも同じく、正しい現状課題の抽出と可視化ができていないと業務プロセス効率化を進めるどころか、現場からの反感を受けることもあるでしょう。アナログ業務やその他属人的となっている定型業務は、対象となる業務プロセス改善に向け、まず全体の課題把握をした上で小粒の定型業務からRPAによる自動化をスモールスタートで進めると良いでしょう。
近年、バックオフィスの定型業務や業務プロセスを改善するために活用されているのが、RPAです。具体的にどのような活用をされているのか解説する前に、簡単にRPAについてご紹介します。
製造業界でも活用されているRPA
多くの業界・業種で活用されているRPA (Robotic Process Automation)。RPAとは人間がコンピューター上で行っている定型作業を、ロボットで自動化することをいい、別名「仮想知的労働者(デジタルレイバー)」と呼ばれています。
一般的なRPAツールでは直接プログラムを書くことはありません。そのため、現場での業務プロセス自動化が容易になります。また、RPAに記録した工程は、現場で柔軟に変更することも可能です。RPAを導入した後に作業内容が変更になったとしても、変更になった一部を修正することで柔軟に対応できます。このことからRPAは業務プロセス改善や人手不足対策などで幅広く活用されています。
関連記事:RPAとは?RPAを導入するメリットから導入方法までをわかりやすく解説!
製造業で活躍するRPA(デジタルレイバー)の”今”
日本国内でRPAは2016年頃から徐々に導入が進み、その頃一部での製造会社でも導入・活用が進み始めました。その後、2017年に国内でのRPAブームが巻き起こり過度な期待をもった企業がRPAの導入を進め、RPA活用が成功している企業、導入後失敗に終わった企業の2分化が進みました。
業務プロセス効率化に向けたRPA推進体制を整え、スモールスタートから着実に一歩ずつ始めた企業は社内でのRPA活用者も着実に増え、オンボーディングでき更なる活用が進んでいるようです。
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製造業のRPA事例
現在では、多くの企業でデジタルレイバーを活用した業務プロセス改善が進んでおり、その効果は製造業界でも活躍しています。RPAは製造業界でどのように活用されているのでしょうか。具体的な事例をみていきましょう。
事例① 三菱重工業株式会社
関連記事:「日本の空を守る」ものづくりの現場で、RPA技術者200人以上の育成を目指す
生産効率向上の取り組みを事務作業に広げ、更なるRPA技術者育成へ
三菱重工業株式会社の防衛・宇宙セグメント航空機・飛昇体事業部は、ものづくりを通じて「日本の空」を守る重責を担っています。さまざまな業務の中でも、事業の特性上機密事項が多いため、高度なセキュリティが重要視される現場でRPAを活用した生産効率を高める取り組みが2018年5月からはじまりました。
同事業部では開発の際にロボット化の対象とした間接業務は、その後の普及活動を念頭に置き、事例としての分かりやすさを重視して選ばれました。そのため、短期的な導入効果を強く期待したわけではなかったという。
ただそれでも、4業務に導入されたロボットによる工数削減効果は、1年間の通算で600~800時間に達する見通しとなりました。当初掲げていた同250時間の目標を、実に2~3倍上回る結果を見込んでいます。
事例② 日本インシュレーション株式会社
関連記事:社内公募でRPAチームを発足。 現場の担当者がロボットを開発し、幅広い部署で導入が進む
定時後に行わざるをえなかった作業をRPA化。担当者が残業から解放
日本インシュレーションは、建築分野とプラント分野を中心に、耐火・断熱材料の製造・販売・施工を担っており、DX推進の呼びかけを機にRPAに着目し、BizRobo!を導入活用しています。
BizRobo!導入後、多数のロボットが稼働し、社内に知識が定着してきた現在、同社はさらなる活用のための転換期を迎えているようです。今後は更なる業務プロセス効率化に向け、ペーパーレスツールとの組み合わせなどでより効果の大きなロボットを作成を予定しています。また、より効率的な仕組みをつくるべく、RPA推進に向けた体制づくりも強化しています。
工場現場では、その日の製品の出荷量を記録してシステムに反映する業務をRPA化し効率化しています。RPA導入以前は、当日の出荷量データなどが完成する定時後でないと情報の反映ができませんでした。
そのため、物流部門担当者が残業をすることで記録アップロード業務の対応をしていました。BizRobo!導入により、現在はデータの抽出、転記、アップロードをそれぞれロボットが担い完結しています。人手作業がほとんどなくなり、作業時間は15分から5分程度に短縮。この作業のために毎日していた残業もする必要がなくなりました。
事例③ ギガフォトン株式会社
関連記事:製造業で活躍する産業用ロボットと同様!事務用ロボットとしてBizRobo!活用を現場主体で全社的に推進
60体超のロボットが稼働、初期段階で目標とした年間2,700時間の削減効果をクリア
ギガフォトン株式会社は、2000年に建設機械大手・コマツ(株式会社小松製作所)の培ったレーザ製品技術開発における経験・実績を継承するかたちで設立した企業です。
設立以来、半導体素子製造に用いられる「リソグラフィ装置」用の光源であるエキシマレーザを製品化し事業展開、近年では次世代リソグラフィ光源である、極端紫外線(EUV)光源の開発・量産化に取り組んでいます。
そんな同社においてRPA推進プロジェクトがスタートしたのは2018年1月。BizRobo!ゴールドパートナーであるデジタルフォルンの支援を受け、わずか半年足らずでBizRobo!の本格運用のスタートを実現しています。
同社では本格的なロボット開発の始動をし、生産部門・カスタマサポート部門・開発部門・IT部門等でBizRobo!を活用しています。稼働するロボットの数は約60体にまで拡大しており、全社展開が進んでいます。ロボットの管理台帳で稼働状況を把握し、業務時間の削減効果も算出しており、初期段階で目標とした年間の削減効果の2,700時間もクリアでき、業務効率化は順調に進行しています。
事例④ セキ技研株式会社
関連記事:「RPAでお客様も社員もみんなHAPPYに」取引先も評価する中小製造業のDX推進
取引先も評価する、中小製造業のDX推進
新潟県南魚沼市に本社を置くセキ技研株式会社は、1991年の創業から800種類以上を世に送り出してきた、オーダーメードの自動機メーカーです。
人にしかできない業務への集中を進めていく一環として、パソコン上での定型作業を自動実行できるRPAに着目し、2021年に「BizRobo! mini」を導入しました。特に現場からの理解・協力を重視し、主要部署の代表者を集めて「RPA委員会」を組織するなどした結果、導入は円滑に進み、社内開発したソフトウェアロボットが、現在18業務で稼働しています。
作業のロボット化により、社内の作業負担が軽減したのはもとより、対外的な事務がより速く・正確になったことで取引先からの評価も向上。社員100人規模の中小企業におけるモデルケースとして、蓄積した知見を生かした社外へのRPA導入支援事業も計画中です。
事例⑤ Jマテ.カッパープロダクツ株式会社
関連記事:生産現場の効率化手法を間接業務に応用。 RPA+紙のデータ化で「工数3割減」を目指す
導入初年に1,000時間創出で投資回収の見通し
100年近い製造業の歴史を持つ新潟県上越市で創業40周年を迎えるJマテ.カッパープロダクツ株式会社は、資源回収された金属を鋳造・加工する銅合金製造のメーカーです。
RPAツール「BizRobo! Lite」と合わせて、紙帳票をRPAでも扱えるデジタルデータに変えるサービス「デジパス」を導入。活用の要所を押さえたことで、当初計画したロボットの大半が導入2カ月で実稼働しだすなど素早い立ち上げに成功しました。
部門や社内外の垣根を越えた効率化で、導入初年度から費用以上のリソース創出効果を、また2年以内に社内の定型業務に要する工数の3割減を見込んでいます。今後はデジパスによる紙書類のデジタル化の成果を生かしたデータ活用など、より有意義な仕事に集中できる環境を整え、成果を社外にもアピールし、採用難が続く地域で選ばれる企業としての地位を確立したいと考えています。
事例⑥ 株式会社ファンケル
関連記事:“余白”を生み出し、新たな発想を。化粧品・健康食品製造販売の担い手が自ら挑むBizRobo!活用
年6,700時間相当の効率化を達成
無添加化粧品などの製造販売を手がける株式会社ファンケルは2019年末、社員が自ら使いこなせる業務効率化手法として、「BizRobo! Basic」を導入しました。
BizRobo!パートナーである株式会社ヴィンクスの支援を得て、各導入部署が主体となって進めてきた社内開発により、年間およそ6,700時間相当の人的リソースを創出しています。
商品の製造およびEC・直営店での販売など、事業全般に関わる幅広い部門に導入されたBizRobo!は、処理時間の短縮はもとより、作業負荷の軽減や、人ならではの判断が求められる業務へのシフトといった成果をそろって達成。確かな実績を踏まえ、開発スキルの学習は社内教育プログラムにも組み込まれており、さらなる社内開発者の育成を通じた活用規模の拡大が見込まれています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。本記事では、製造業のデジタル化・業務プロセス効率化について基本的な考え方や製造業の課題についてご紹介し、具体的な製造業のRPA活用についても事例を交えて解説しました。これから人手不足が深刻化していく中で、デジタルを活用していかに社会課題の解決や事業組織内部の業務プロセスを改善していくかが重要となるでしょう。製造業のDXや業務プロセス改善の実現に向けて、RPA活用をご検討の方はぜひ当社へお問い合わせください。
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