BizRobo! mini
月10時間の休日労働から院長を解放。 医師1人で80人を診る在宅医療にBizRobo!が貢献
Highlight
- コロナ禍のワクチン接種等による業務負担が増大
- 院長が休日返上で処理していた訪問診療における定型書類を自動化
- 最大7割超の負担軽減を達成、適用業務をさらに拡大予定
北九州市で訪問診療を行っている浅川学園台在宅クリニックは、医師の関与が必須となる事務処理に充ててきた休診日に、院長が新型コロナワクチン接種に出務するようになったのを機に業務効率化を計画。定型的なパソコン作業を自動実行できるRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)ツール「BizRobo! mini」を活用し、書類発行業務の省力化を進めた。
院長自ら開発した3種類のソフトウェアロボットは、最大で7割超の負担軽減を達成。これにより、同業の一般的水準を大きく上回る数の患者を受け入れながらも、余裕を持った対応が実現できている。今後は、提携する外部事業所と共有している情報の管理などにもRPAの活用範囲を広げていく計画だ。
導入背景医師の関与が必須の事務は休診日に処理
コロナ対応での多忙化を機に業務効率化を検討
北九州市八幡西区で2018年9月に開業した浅川学園台在宅クリニックは、院長の河野精一郎氏ら7人が、外部の訪問看護ステーション、ケアマネージャーや介護施設などと連携し、同区および近隣に住む患者80人に対する在宅医療を提供。月1・2回の定期訪問による診療・検査をはじめ、緊急時の往診や、最期の看取りを担っている。
開業2年目のタイミングでコロナ禍に直面した河野氏は、クリニックが休診する週末に半日間、ワクチン接種に出務することを決めた。しかし土・日はそれ以前から訪問看護指示書の作成など、医師の関与が必須となる事務処理に充てていたことから、特に作業が集中する月末・月初は、本来の業務を圧迫しかねない状況となりつつあった。
このため同氏は、医師として最も優先すべき診療に集中できるよう、デジタルツールを活用した業務効率化の方策を検討するようになった。
BizRobo!を 選んだ理由「医師の事務負担軽減で費用を上回るメリット」
トライアル後の効果予測を踏まえて決断
一般社団法人メディカルRPA協会が2022年2月に開いたオンラインセミナーに参加し、在宅クリニックのRPA活用事例を知った河野氏は、自院でのRPA活用の検討をスタート。同協会が推奨するクライアント型RPAツール「BizRobo! mini」の無償トライアルを経て、同年夏から本格導入に踏み切った。
データベース運用などの経験があり、「もともとITが好きだった」という同氏は、「トライアル期間中に私自身がRPAを使ってみたところ、当院で使っている電子カルテ『セコムOWEL』の操作を確かに自動実行でき、またソフトウェアロボットを実際にカスタマイズすることもできたので、安心して導入を決めました」と振り返る。
コスト面でも、医師である河野氏がRPA導入によって事務作業から解放される見込み時間を時給換算したところ、ライセンス費用の方が安価だったことから、見合う効果が十分期待できると判断した。
対象業務医師が発行する患者・他事業所向けの書類作成など
元データを更新するだけで規定の書面を自動印刷
現在同クリニックでは、医師が患者に毎月交付する「在宅療養計画書」の発行と、医師が訪問看護ステーションに毎月交付する「訪問看護指示書」の発行、ならびに事務職員が患者宛に毎月作成する「医療介護費月まとめ請求書」の発行という、合計3業務でBizRobo! miniを活用している。
このうち在宅療養計画書の発行では、セコムOWELのテンプレートに各患者向けの最新情報を入力して都度印刷していた工程をRPAで大幅に省力化した。具体的には、各患者宛の各種書類を管理しているデータベースソフトから翌月の対象患者の一覧を作成し、セコムOWEL上に各患者の留意事項の記載のみ医師が更新すれば、一覧の対象患者の指示書が自動作成される仕組みになっている。
また請求書については、ソフトの仕様上困難だった一括全件印刷を、RPAによる自動実行で実現している。
在宅療養計画書の発行業務
導入効果医師の事務作業時間を最大7割超削減
事務員の手作業を完全自動化できた例も
同クリニックで稼働中のロボット3種類のうち、在宅療養計画書と訪問看護指示書の発行関連では、河野氏の手にかかる作業が最大75%削減され、毎月10時間弱を創出。事務員が毎月5時間を充てていた請求書発行作業は、ほぼ完全に自動化された。
個人開業の在宅医療で担う患者数が一般に50人程度とされる中、実に1.5倍以上の患者を受け入れている河野氏は「RPAをはじめとする業務効率化のたまもの」と分析。「特に、毎月80通ある在宅療養計画書の作成では1通8分ほどの作業が2分足らずで済み、月末・月初に時間的・精神的な余裕が生まれました」と笑顔を見せる。
事務処理能力が強化されたことで、河野氏はコロナワクチン接種協力のため休日から半日を充ててもプライベートの時間を確保できるようになった上、今後いっそう積極的に患者を受け入れられるようになったという。
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CORPORATE PROFILE
- 社名
- 浅川学園台在宅クリニック
- 事業内容
- 医院(内科・神経内科・脳神経外科)
- ウェブサイト
- https://asakawagakuendai.com/
- 話を伺った方
- 院長・医師
河野 精一郎 氏
- ここまでの内容に加えて下記を追加
「今後について」
「現場の声」 - 印刷用PDF(フルカラー)4ページ