BizRobo! Basic
特定機能病院における“医療・看護の質”向上に向けて、部門ごとに挑む「BizRobo!」パイロット開発
Highlight
- 2019年秋から部門ごとにBizRobo!導入に向けたパイロット開発を開始
- 薬剤部で試作中のロボットでは「週10時間程度」の削減効果が見込まれる
- 院内各部門へBizRobo!導入を拡げ、“医療と看護の質”向上に向け歩み出している
滋賀医科大学医学部附属病院は1978年の開設・開院以来、40年以上にわたって地域の中核病院の役割を果たしてきた。1995年には、全国に86カ所が点在する特定機能病院(高度の医療の提供、高度の医療技術の開発及び高度の医療に関する研修を実施する能力等を備えた病院)として承認されている。病床数は612床。そんな同院でBizRobo!の本格導入に向けたパイロット開発(先行的開発・試作)が始まったのは、2019年9〜10月のこと。同院内にある複数の部門・科からプロジェクト担当者が任命され、同年11月からは集合研修を行い、現在も各担当者がパイロット開発に挑んでいる。
導入背景医師・看護師が書類に関わる時間をできるだけ短縮したい
プロジェクト担当者を各部門から任命
2019年9〜10月頃、滋賀医科大学医学部附属病院においてBizRobo!導入プロジェクトが始まった。同院看護部からその担当者に任命された1人、岩佐文代氏は、医療現場全般に潜在している課題について次のように説明する。
「医療の現場は長らく、書類作成などの事務的作業で溢れかえっています。入院患者さんの受入れにも、入院治療を行う過程でもさまざまな書類作成が発生。私のいる看護部でも、例えば診療報酬が改定されるごとに、新しい事務作業が発生する場合があります。もちろん医療事務のスタッフによる対応も考えられますが、高齢化に伴って患者さんが増えればやがて限界は生じてしまう。医師・看護師が書類に関わる時間をできるだけ短縮したい——。それが医療現場の本音なんです」(岩佐氏)
同年11月から集合研修が、12月から担当者別の個別研修が行われ、2020年2月現在も各担当者が実践的なパイロット開発に挑んでいる。部門ごとに進捗具合は千差万別だが、各部門の担当者が何度もトライ&エラーを繰り返しながらロボットの精度を向上させ、今後は開発担当者によるBizRobo!の成果発表会も予定しているという。
BizRobo!を選んだ理由BizRobo!は当初イメージより「操作がしやすかった」
個別サポートを受けながらパイロット開発に挑戦
BizRobo!の集合研修が始まった当時のことを「ITシステムのことなんてまったくわからなかった」と振り返る岩佐氏。Webサイト上の体験者インタビューに記された「初心者でも大丈夫!」との声が、大きな励みになったという。
「集合研修を3回受講し、現在は個別サポートも2週間に1回程度の頻度で受けながら、パイロット開発に取り組んでいるところです。我々の取り扱う情報は基本的に、いずれも患者さんの個人情報にあたるため、対象業務の選択では情報管理・情報セキュリティーの観点からも検討する必要がありました」(岩佐氏)
岩佐氏が現在取り組んでいるのは、看護部門における各種看護管理情報に関する業務の効率化。実際にBizRobo!を操作してみた率直な感想については次のように話す。
「ロボット開発というと、どうしてもエンジニアやプログラマーの方の仕事のような、どこか小難しいイメージが付きまといますよね。でも実際のBizRobo!は当初のイメージよりずいぶん操作がしやすく、なによりとても触りやすかった。『こんなに簡単に作れるんだ!』という驚きがありました」(岩佐氏)
対象業務電子カルテからの情報自動抽出ロボットを開発中
薬剤師が“専門性”を発揮するために
岩佐氏と同様に薬剤部から同プロジェクト担当者に任命された上西幸治氏は、自身の普段の業務内容を踏まえてBizRobo!に対する期待感を次のように表す。
「近年、さまざまな医療スタッフが集まり専門性を発揮する『チーム医療』が広がってきています。チーム医療では薬剤師もさまざまなチームに加わりますが、その際に求められるのが“専門性”です。しかし我々がそこで専門性を十分に発揮するには、患者さんの背景にある検査値・薬歴をはじめ、ときに食事量まで下調べ(事前調査)しておく必要があります。こうした作業において、たとえ限られた範囲であったとしてもロボットを活用できるのだとすれば、それは非常に有用だと思いました」(上西氏)
上西氏はそんな思いから「電子カルテから患者の検査値情報等を一括で自動抽出するロボット」の開発を進めている。
「現在は、電子カルテから患者ごとに該当データを手書きでメモするようなアナログ的作業で情報収集を行っています。それらを、DWH(データウェアハウス)とBizRobo!を活用し自動化することを試みています」(上西氏)
導入効果1週間あたり10時間程度の削減効果の見込みも
医療専門職の業務効率化で“医療の質”向上へ
上西氏が開発するロボットはまだ試作段階であるが、パイロット開発の開始からわずか2カ月ほどの現段階で、すでに効果の兆しが見えてきた。
「チーム医療を行ううえでは、電子カルテに記された検査値・薬歴といった情報を抽出するなど、情報共有のための下準備にかなりの時間を要します。これまでは薬剤部の栄養サポートチーム(NST)約3名が当該業務を行うだけで、だいたい週10時間以上を捻出していました。これをそのままBizRobo!に代替できたとしたら、かなりの業務効率化を見込めそうです」(上西氏)
上西氏はBizRobo!導入に伴う今後の医療現場の変化についても、次のように話す。
「BizRobo!導入によって、医療専門職が患者さん一人ひとりの医療に費やす時間が増えていけば、確実に“医療の質”が向上すると思います。時間の有効活用は医療現場の働き方改革にもつながりますし、質の高い医療の提供は、患者さんの満足度の向上にもつながるでしょう」(上西氏)
完全版事例をダウンロードしてご覧いただけます
CORPORATE PROFILE
- 社名
- 滋賀医科大学医学部附属病院
- 事業内容
- 医療機関
- ウェブサイト
- https://www.shiga-med.ac.jp/hospital/
- 話を伺った方
- 滋賀医科大学医学部附属病院 薬剤部 副薬剤部長補佐 上西 幸治 氏
(同病院) 看護部 看護師長 岩佐 文代 氏
- ここまでの内容に加えて下記を追加
「今後について」
「現場の声」 - 印刷用PDF(フルカラー)4ページ