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BPRとは何か? 業務改善との違いを基本から解説

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1 BPRの定義

BPRとは、「Business Process Reengineering(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング=事業プロセスの再構築)」を略した言葉です。

BPRのコンセプトが最初に提唱されたのは1993年、MIT元教授であるマイケル・ハマー氏と、経営コンサルタントのジェイムズ・チャンピー氏の共著「REENGINEERING THE CORPORATION A Manifesto for Business Revolution(邦訳「リエンジニアリング革命:企業を根本から変える業務革新」)」によってでした。

同書で示されたBPRの定義は
「コスト、品質、サービス、スピードのような、重大で現代的なパフォーマンス基準を劇的に改善するために、ビジネス・プロセスを根本的に考え直し、抜本的にそれをデザインし直すこと」
というものです。

30年も前に提唱された内容でありながら、ビジネスに抜本的な変革を求め、そのために情報技術の活用が不可欠だとするBPRは、こんにち多くの企業が推進するDX(デジタルトランスフォーメーション)に通じるものがあります。そのため、この2つのコンセプトを「本質的には同じ概念」と分析する実務家もいます。

ただ一方、現実に達成できた例が少ないことなどを理由に、BPRを「結局成功しなかったコンセプト」と結論づける見解や、本来のコンセプトからかけ離れた内容をBPRと称する例が散見されるのも事実です。

そのため、ここからは、いったん“原典”である同書(以下『リエンジニアリング革命』)の内容に則してBPRのコンセプトを確認した後、実際に本来の意味でのBPRを達成したと考えられる事例や、成功するための条件などを解説します。

2 BPRと業務改善の違い

デジタル技術を積極活用しながら、事業の進め方を見直していくBPRは、同様の取り組みを進める「業務改善」と似ている部分があり、そのため両者は、時に混同されがちです。

しかしBPRは以下のとおり、基本的な考え方の部分で業務改善と大きく異なる部分があり、本質的には全く別の取り組みだといえます。

違いその1:既存の業務・組織の仕組みを前提としない

BPRが業務改善と異なる第1の点は、「既存の業務や組織の仕組みを前提としない」ことです。

業務改善が、既存の業務の進め方を見直すのに対し、BPRで改革するのは、ビジネスの「プロセス」です。ここでいうプロセスとは、「企業が行っている活動そのもの」を指します。

誰かが担当している作業や、部・課といった組織など、既にある大小の枠組みを基本的に維持しながら、それらの内部を部分的に見直すことで効率化・最適化を図るのが業務改善なのに対し、BPRでは、そもそもそうした枠組みにとらわれません。

つまりBPRでは、企業活動の本質的な要素をプロセスと名付け、各プロセスが顧客にとって最善なものとなるよう、まっさらな状態からデザインし直します。そのためBPRを実行した組織では、もはや時代遅れになったルールや、実は不合理と分かった暗黙の前提が容赦なく捨て去られ、その結果として既存の業務が丸ごとなくなる場合もあります。

違いその2:劇的な(ケタ違いの)改善を目指す

BPRが業務改善と異なる第2の点は、「劇的な改善」、つまり従来とはケタ違いの飛躍を目指すことです。これは先に述べたとおり、BPRが既存の枠組みに縛られず、全く新しいやり方に切り替えるからこそ実現可能となります。

『リエンジニアリング革命』では、BPRを、劇的な改善が必要なときにのみ用いるべき方法だと位置づけています。すなわち、「業績が目標に10%満たない」「顧客サービスのパフォーマンスを10%上げる必要がある」といった程度であれば、「もっと型にはまった方法」である業務改善でも達成可能であり、BPRという思い切った方法をあえて選ぶ必要はないとされています。

違いその3:リーダーが方針を示して主導する

BPRが業務改善と異なる第3の点は、「リーダーが方針を示し、取り組みを主導する」ことです。

ここで言うリーダーが具体的にどのレベルを指すかという点について、『リエンジニアリング革命』では、命令系統を同じくする組織の全員に影響力を持った人、すなわち全社的な取り組みであれば社長やCOO(最高事業責任者)レベルであることが必要だとしています。

BPRは既存の枠にとらわれない取り組みであり、組織としてどのような変化を目指すのかが、メンバーにとっては最初から明らかではありません。そのため、BPRで劇的に改善したいのが何なのか、またそうした改善の実現度は一体どのような基準で判断されるのかについては、組織のリーダーが決め、BPRの方針としてメンバーに示す必要があるのです。

業務改善の取り組みは、「受注を増やせる」「作業が早く終わる」「ミスが減る」など、現場レベルで納得・実感できる基準をもとに、上からの指示を待たず自主的に実践することができます。しかし、BPRがボトムアップで始まることは、基本的にありません。

違いその4:終わりがある

BPRが業務改善と異なる第4の点は、「終わりがある」ことです。

従来の延長上でありえないほどの劇的改善を目指すBPRが、永続的に続けられないのは明らかです。つまりBPRは、目的が達成されるか、達成できないことが確定した時点でいったん終了するほかなく、これが期限を設けず、日常的に継続できる業務改善との違いになっています。

実質的には業務改善にあたる取り組みがしばしばBPRと称されるためか、今日ではBPRが「通常より大規模な業務改善」程度の、やや日常的なイメージを帯びています。しかし、本来の意味でBPRといえる取り組みは、その企業にとって革命のような一大事であり、相応の姿勢で、集中的に臨むものだといえるでしょう。

3 BPR導入のメリット

BPRに取り組むことで、組織が得られるメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。

メリット1:組織の存在意義が高まる

BPRに取り組むメリットの第1は、「狙い通りの成果を達成できた場合に、組織の存在意義が高まる」ということです。

業務改善と異なりBPRでは、従来のやり方の延長上でさらに努力を重ねて生き残るのではなく、いま顧客から求められる最も重要な価値の提供にフォーカスし、評価を一気に高めることを目指します。したがってそれが実現できた組織は、かりに長い歴史を持っていたとしても、今日の社会における存在意義を飛躍的に高めることができます。

現在リアルに求められることの核心をとらえ、効果的に実現できる組織は、顧客を深く満足させるだけでなく、そこで働くメンバーにも大きな充実感をもたらすはずです。

メリット2:生産性の劇的な向上

BPRで従来のやり方を抜本的に見直す組織は、過去の遺物を大胆に捨て去り、今の時代に合った価値が提供できる体制に生まれ変わろうとします。

このチャレンジが成功すれば、業務にかかるコストが大幅に低減できるだけでなく、より多く、また高く売れるプロダクトを提供できるようにもなります。つまり、BPRを達成した組織では、売上と付加価値が大きく増え、またコストが大きく抑えられ、それらの相乗効果によって劇的な生産性の向上が実現します。

4 BPRの進め方

実際のBPRは、以下のような段階を踏んで進められます。

ステップ1:メンバーを決める

BPRは、組織内でそれを進めるメンバーと、各自の役割を決めるところから始まります。

『リエンジニアリング革命』では実例を踏まえ、BPRには

  • ・BPRの意義を周知し、評価システムを整え、人事や施策の採否を司る「リーダー」
  • ・各プロセスのBPRに責任を持つ「プロセス・オーナー」
  • ・プロセスに関わる部署内外の5~10人を集めた実行部隊「リエンジニアリング・チーム」
  • ・リーダーの下でBPR全体を取りまとめ、プロセス・オーナーやリエンジニアリング・チームをサポートする「リエンジニアリング・ツァー」
  • ・複数プロセスが関係する討議のため、適宜設置する「ステアリング・コミティー」

という役割が存在し、これら5つから単独または複数の役割を組み合わせたポストを設けてメンバーを充てることが多いとしています。

ステップ2:プロセスの把握と変革対象の選択

BPRを進めるステップの第2段階は、組織内のプロセスを把握した上で、変革する対象を選ぶことです。

『リエンジニアリング革命』によると、組織が自らのプロセスを明らかにするのは「頭の痛くなるような作業」ではあるものの、「普通は数週間で完成」できるといいます。

同書では、いかなる企業も主要なプロセスは10を超えないとされ、具体例として40億ドル規模の半導体事業を「戦略開発」「製品開発」「顧客別デザインおよびサポート」「製造力開発」「顧客とのコミュニケーション」「注文の処理」という、わずか6プロセスに整理した例が紹介されています。

また、変革する対象の選択は、組織内全てのBPRを同時並行するのが困難であることから、着手の優先順位付けとして行われます。同書では、「現状の機能障害の深刻度」「顧客への影響からみた重要性」「変革の成功可能性」の総合考慮で決めるとしています。

ステップ3:新たなプロセスのデザイン

BPRを進めるステップの第3段階は、変革すべきプロセスの再デザインです。再デザインの具体的な内容としては

  • ・従来のプロセスで顧客に提供してきたものが、実際どう受け入れられているか観察し、
  • ・より求められるために何が必要か理解した上で、
  • ・それを具現化するための方法を考える

という過程が挙げられます。

『リエンジニアリング革命』では、これらの過程を「BPRの全過程の中で最も純粋に創造的」と評しており、既存の仕組みを精査して改善点を探る業務改善的アプローチとの違いを強調しています。

さらに同書は再デザインについて、過去にBPRを行った組織の事例が参考となるため全くの白紙から始める必要はないものの、より劇的な効果を狙うため、同業など狭い範囲に限らず、世界のベストプラクティスから学ぶべきだとしています。

なお日本においては、抜本的な再デザインを要求するBPRの進め方として、既存の大枠を変えない業務改善の手法が、ほぼそのまま提示されることもあります。これはBPRが要求するハードルの高さを踏まえ、BPRと業務改善の区別を意図的に緩くしたためだと思われますが、少なくとも理解の段階では、両者をはっきり区別したほうがよいでしょう。

出典:三菱UFJリサーチ&コンサルティング「民間企業等における効率化方策等(業務改革(BPR))の国の行政組織への導入に関する調査研究」

ステップ4:変革の試行と実行

格BPRを進めるステップの第4段階は、再デザインしたプロセスの試行と、それに続く本的な実行です。

『リエンジニアリング革命』では、この過程のポイントとして

  • ・より少人数でプロセスを実行する方法を考えること
  • ・従来の方法の前提となる条件を試しに全部取り払って考えてみること
  • ・情報技術の破壊的な力を利用すること

の3点を挙げています。

なお、実際のプロセスの実行手段としては、

  • ・基幹的な社内業務を統合的に管理できるパッケージソフト(ERP)を導入する
  • ・現在社内で処理している業務を切り出し、外部に委託する(BPO)
  • ・手作業で処理している定型的なパソコン操作をソフトウエアで自動実行する(RPA)

などが選ばれますが、これらはいずれも、BPRであるか業務改善であるかを問わずに使える、いわば “道具”のような存在です。従って、上記いずれかの手段を採用することが、ただちにBPRかどうかを決定づける要因にはならないことに注意が必要です。

関連ページ:RPA(ロボットによる業務自動化)とは

5 BPRの事例

実際に、BPRで抜本的な変革を達成した事例として、以下のようなものが挙げられます。

事例1:「食事に対する価値提供のリーダー」を目指した生産性向上で売上規模6倍に(タコベル)

『リエンジニアリング革命』では、著者らが直接携わったBPRの事例として、現在日本を含む世界各国に展開しているファストフードチェーンのタコベルが紹介されています。

1983年時点で、売上・成長率・利益率とも競合に大きく見劣りしていたタコベルは、CEOの交替を機に約10年をかけてBPRを実行。この間に売上規模を約6倍に伸ばしたほか、7年目以降は毎年130%以上の利益増を記録するなど業界トップ水準の成長を遂げました。

従来同社は「一体どうなりたいのかと言うことについての考えがなかった」ことから、BPRでは、まず「あらゆる食べ物、食事に対する価値提供のリーダー」というゴールを設定。真に価値あるものを提供していれば過剰なマーケティングなどは不要との考えから、実際に顧客の手に渡るものを除く、あらゆるコストの削減に取り組みました。

コスト削減を実現した具体的な生産性向上策としては、

  • ・店舗マネージャーは問題発生時の対応に専念させ、1人あたりの担当店舗を業界相場の5~6店舗から20~40店舗まで増加
  • ・セントラルキッチンを導入し、店舗のキッチンと客席の面積比を7対3から3対7に逆転。同じ面積で2倍以上の客席を確保したほか、店舗で食材の下処理をなくしたことで士気の向上や事故の減少、光熱水道費の節約などを達成
  • ・ITシステムを店舗に配備し、各店での事務処理を効率化

などが挙げられています。

事例2:経営指標を絞り、データの収集・検証を効率化(カルビー)

ポテトチップスの代表的なメーカーであるカルビー株式会社は、創業からの同族経営を2009年に転換。以後9年にわたり会長兼CEOを務めた松本晃氏のもとシェア拡大とコスト削減を進め、2~3%だった営業利益率を10%超まで改善したことで知られています。

この事例で、BPRの観点から特に注目したいのは、会長に就任した同氏が業務の原則の1つに「簡素化」を掲げ、経営指標と情報システムを大胆にスリム化した点です。

当時から情報システムに携わり、現在同社のDX推進本部長を務める小室滋春氏はメディアの取材に対し、かつての同社は約5万種のデータをもとにさまざまな指標を毎週更新しており、集計や報告に負担がかかっていたと証言。これら諸指標を全てなくしたことでITの構築・運用コストは大幅に削減され、さらに部門単位で貸借対照表を作成していた決算処理を見直すなどした結果、一時5,000近くあったERPの拡張機能(アドオン)を、約3%の120個まで一気に削減できたと明かしています。

出典:ITmediaエンタープライズ「プロ経営者 松本晃会長の下、現場では何が起きていたのか――カルビー大変革の舞台裏」(2018年9月11日公開)

あえて経営指標を絞り込んだ狙いについて、松本氏は在任時のインタビューで「指標が多すぎると知恵が出てきません」「アレもコレもといっぺんに指示を出したら、従業員が混乱します。だから、いちばん大事な利益にしぼる。なかでも営業利益率がわかりやすい」と説明しています。

出典:INOUZTimes「プロ経営者が語る「おてんとさま理論」日本人プロ経営者・松本カルビー会長」(2016年6月15日公開)

事例3:コスト減とサービス向上で公的資金3兆円を完済(りそなHD)

国内有数の金融グループである株式会社りそなホールディングスは、バブル崩壊後に多額の不良債権を抱えたことなどから2003年以降公的資金を受け入れ、その額はピーク時で3兆円超に達しました。

この間、傘下のりそな銀行などは、公的資金申請後に外部から就任した細谷英二会長のもと、業界横並びだった午後3時の閉店を延長したのをはじめ、「3ない(窓口で待たせない、印鑑を押させない、書類を書かせない)」「3レス(書類を減らすペーパーレス、現金のやり取りを減らすキャッシュレス、事務作業を減らすバックレス)」と称したBPRを実施。店舗入口や窓口のレイアウトを工夫し、顧客自身によるATM操作を促すことなどでスピーディーな対応を実現したほか、業務自体の解消を含む大幅な事務量削減も達成し、効率化された事務部門からシフトさせた人員を生かした営業力強化も進めました。

従業員の年収水準引き下げや希望退職といった痛みも伴いつつ進められた改革の結果、2015年6月には公的資金を完済して実質国有化の状態を解消。同年には当時の大手銀行で初めて24時間365日リアルタイム振込に対応するなど、さらなるサービスの強化が続けられています。

6 BPRを成功させる条件

ここまで見てきたBPRの特徴や事例をもとに、取り組みを成功させるための条件を整理すると、大きく以下の3点が挙げられます。

条件1:組織の「一番の課題」に位置づける

BPRを成功させる第1の条件は、BPRを、取り組む組織にとって「一番の課題」に位置づけることです。

今までのやり方を抜本的に見直す以上は、既存のいかなる強固な仕組み、ルール、慣習よりも、BPRの達成を優先しなければなりません。この点に関して『リエンジニアリング革命』では、経営陣がBPRに関与し・集中し・常に強い関心を払っていることが分かって初めて、人々はBPRが不可避であることを「仕方なく受け入れる」と表現しています。

条件2:ゴール・目標・現状の明確化

BPRを成功させる第2の条件は、取り組みの「ゴール」「目標」「現状」を明確化することです。

既存の枠組みにとらわれないBPRで、目指すものが明確であることの重要性は、「あらゆる食べ物、食事に対する価値提供のリーダー」というゴールを設定したタコベルの成功や、公的資金の早期返済というゴールに向けてりそなホールディングスが重ねた努力が、如実に物語っています。

また、収益性の劇的な向上を目指していたカルビーが、それまで多すぎた成否の判断基準を営業利益率などの最重要指標に絞り込み、到達すべき目標を単純明快に示したことは、当時の同社にとって不可欠の要素だったと考えられます。

さらに、大変革となるBPRの出発点として、組織が現在どのような状態なのか、客観的に把握する必要があるのは言うまでもありません。例えば『リエンジニアリング革命』では、ある融資審査プロセスを100倍高速化できたケースで、いったん既存のプロセスを全て検証したところ、純粋な審査時間はごくわずかで、あとは複数の専門家間の書類回覧に費やされていること、また案件の大半は定型的であることが分かったため、審査方法を標準化・システム化し、専任担当者1人で処理させるようにしたことが紹介されています。

条件3:リスクと不都合から目を背けない

BPRを成功させる第3の条件は、取り組みを進めれば確実に生じる「リスク」と「不都合」から目を背けないことです。

あらかじめ成功の保証がないBPRは、実行を決断する経営陣にとってリスクを伴い、それを避けようとすれば、実効性が失われます。例えば『リエンジニアリング革命』では、もし失うものが少ないことを理由に引退間際のCEOがBPRに着手した場合、後継者候補の全員が失点を恐れて関与を避けるか、あるいは決定している後継者に取り組みの継続を約束してもらえない事態に陥ると指摘しています。

また、「誰もが得をするというなら素晴らしいが、それは偽り」と同書が言明するとおり、一種の革命であるBPRは、「慣れ親しんだ方法を改めさせられる」「担当業務や、最悪の場合は職そのものを失う」といった大小何らかの不都合を、組織内の誰かに必ずもたらします。

劇的効果が期待できる一方、上記のように無視できないデメリットも存するBPRは、成功例が少ないというよりは、取り組みに適した組織やフェーズがかなり限定される手法といえるでしょう。同書も、BPRに着手できる組織は

  • ・きわめて大きな問題に直面していることを自覚している
  • ・当面問題はないが、いずれ問題が起こることを経営陣が予測している
  • ・最高の状況にあるが、経営陣が野心的で積極的

のいずれかだとしています。

したがって、少なくとも管理職以下の組織階層においては、BPRを検討するより先に、より少ないリスクで手軽に取り組める業務改善を試すのが、現実的かつ有効なアプローチとなります。もし業務改善を部分最適に留めず、効果を最大化したいといった場合も、局所的に始めた取り組みの範囲を、少しずつ周囲に広げていくのが確実だと思われます。

7 BPRにも業務改善にもRPAは不可欠

パソコン上での定型作業を自動実行できる汎用的なデジタルツールであるRPAは、トップ主導で組織の仕事を抜本的に見直すBPRと、現場主導による日常的な業務改善の双方で、幅広い応用の場があります。

オフィスワークの業務改善にRPAが不可欠であることは既に数多くの事例が実証していますが、RPAが今日必須の存在となっているのは、BPRの取り組みにおいても同様です。

例えば、BPRに伴って既存の社内システムを全面的に刷新する組織では、プロセスの完全移行までに時間がかかるほか、多数の開発要員も要します。

そうした間も業務は休まず続けられるため、BPRに着手した組織では、「移行期限りの業務を手早く効率化する」、あるいは「開発要員に頼って負担をかけ過ぎないよう、できる限り現場が自前で開発する」といった狙いから、簡便なデジタルツールへのニーズも高まることとなります。

あらかじめ手順さえ決まっていれば、ほぼあらゆるパソコン操作を自動実行できるRPAは、こうしたニーズに最もよく応える手段だといえるでしょう。

関連ページ:RPA(ロボットによる業務自動化)とは

8 まとめ

BPRは、コスト・品質・サービス・スピードといった組織のパフォーマンスを劇的に改善するために企業活動を再検証し、抜本的にデザインし直す取り組みです。その性質上、トップによる主導と強い関与が必須となる上、過去のやり方を大胆に否定する場面も出てくることから、BPRの実行に適した組織やタイミングは限定されますが、BPRを達成できた組織はそれまでの歴史の長短にかかわらず、今日的な存在意義を再び獲得し、生産性を飛躍的に高めることができます。今日のBPRはデジタルツールを用いた効率化を抜きには語れず、汎用性が高いRPAの適材適所での活用は、BPRの成功にも大きく貢献すると考えられます。

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