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RPAの導入効果12選 経営と現場に役立つポイントとは?

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近年国内でユーザーが拡大しているRPAを利用し、自社が抱える経営上の課題解決や、現場の働き方改革を進めたいと考えている方々も多いことでしょう。

PC上での定型作業をソフトウエアで置き換えられるRPAを適切に応用すれば、こうした目的の実現につながる、さまざまな効果が期待できます。

そこで本記事では、RPAによって得られる12種類の導入効果を整理し、狙いどおりの効果を最大限に獲得するためのポイントを探ります。

  1. RPA導入前に、獲得したい効果と程度を明確にすることが重要
  2. RPA導入による12の効果とは
    1. 導入効果その1:作業の処理時間が短縮
    2. 導入効果その2:作業ミスが減る
    3. 導入効果その3:業務品質を向上
    4. 導入効果その4:夜間・休日も休まず稼働
    5. 導入効果その5:従業員のストレスを減らす
    6. 導入効果その6:人が取り組むべき仕事に集中できる
    7. 導入効果その7:コンプライアンス・ガバナンスの強化
    8. 導入効果その8:人件費(残業代など)を削減
    9. 導入効果その9:業務に合わせた増減・変更が容易
    10. 導入効果その10:“人材難”に悩まされない
    11. 導入効果その11:業務プロセスを見える化・標準化
    12. 導入効果その12:現場の改善意識が向上
  3. 導入効果の測定方法―「定量効果」と「定性効果」
    1. 定量効果の代表例1:リソース創出効果(削減時間)
    2. 定量効果の代表例2:費用対効果(人件費の削減効果)
  4. RPA導入で費用対効果を高めるポイント
    1. ポイント1 – RPA導入・運用にかかるコストを把握する
    2. ポイント2 – 定性的な効果についても考える
    3. ポイント3 – ロボットに任せる・任せない業務を見極める
    4. ポイント4 – 他ツール・システムとの連携
  5. 「やりたくない仕事の解消」から始め「こまめな数値化」に成功したユーザーが導入効果を最大化する
  6. まとめ

RPA導入前に、獲得したい効果と程度を明確にすることが重要

「RPAで解決したい課題」として、一般に挙げられることの多いキーワードとして
「人手不足対策」「働き方改革」「間接業務のコスト削減」「ミスの防止」「業務の見える化」
などがあります。

RPAの導入を成功させるには、こうした課題の解決をもたらす具体的な効果が何であるか特定し、その効果をRPAでどの程度獲得できそうか、導入前に見積もっておくことが大切です。

さまざまな業務改善手法の中で、RPAは「人件費がかさむ残業を減らせる」といった経営上のプラス効果だけでなく、「負担の大きい作業を肩代わりしてもらえる」といった、現場で実感できる効果も大きい点を特徴としています。

RPAで仕事の進め方を見直し、「良くなった」という成功体験が共有されれば、さらに踏み込んだ改善・変革も進めやすくなります。そのため、より長期的な取り組みであるDX(デジタルトランスフォーメーション)などを“本丸”と位置づけ、そこに向けた第一歩としてRPA活用に取り組むユーザーもみられます。

RPA導入による12の効果とは

RPAを導入した定型作業は、人間が処理しなくてもよくなります。このことによって得られる効果は、大まかに以下の12種類に分類できます。

  1. 導入効果その1:作業の処理時間が短縮
  2. 導入効果その2:作業ミスが減る
  3. 導入効果その3:業務品質を向上
  4. 導入効果その4:夜間・休日も休まず稼働
  5. 導入効果その5:従業員のストレスを減らす
  6. 導入効果その6:人が取り組むべき仕事に集中できる
  7. 導入効果その7:コンプライアンス・ガバナンスの強化
  8. 導入効果その8:人件費(残業代など)を削減
  9. 導入効果その9:業務に合わせた増減・変更が容易
  10. 導入効果その10:“人材難”に悩まされない
  11. 導入効果その11:業務プロセスを見える化・標準化
  12. 導入効果その12:現場の改善意識が向上

以下では、各効果について1つずつ見ていくことにしましょう。

導入効果その1:作業の処理時間が短縮

効果の1つ目は「作業の処理時間が短縮すること」です。

そもそもRPAは、人がマウスやキーボードを用いてPC画面上で繰り返し処理していた定型作業をソフトウエアで置き換え、操作を自動化することで業務を効率化する技術です。

人間の手作業と比較するとソフトウエアの実行速度は桁違いに速く、そのためRPAを導入することで、作業そのものの処理時間が大幅に短縮できます。

導入効果その2:作業ミスが減る

効果の2つ目は「作業ミスが減ること」です。

「人間は間違える生き物」と言われますが、人の手で煩雑なデスクワークを日々繰り返す中、どこかにミスが紛れ込むのを防ぎきることは困難です。

速く正確な反復作業を得意とするRPAへの移行で、そうした作業から人間を解放できれば、業務中に起こるミスを確実に減らすことができます。

それだけではありません。RPA化でミスが減ったと実証できれば、従来は工程ごとに繰り返していたチェック作業も「最後の1回のみ」などに簡素化し、業務効率をさらに向上できます。「処理そのものの高速化以上に、こうした簡素化での時短効果が大きい」と評価するRPAユーザーもいます。

導入効果その3:業務品質を向上

効果の3つ目は「業務品質を向上できること」です。

人間1人あたりの作業量を2倍・3倍に増やすのが難しいのに対し、RPAはフル稼働でない限り、従来の何倍でも同じ作業を繰り返すことができます。

そのため、RPAをうまく採り入れれば「月1回だったレポート集計を毎日実施」「Web上で1日数回・数百ページを巡回して情報収集」「無作為抽出だった調査項目を全数調査」など、作業をより多頻度・広範囲に行うことで業務品質を高めることが可能です。

導入効果その4:夜間・休日も休まず稼働

効果の4つ目は「夜間・休日も休まず稼働すること」です。

休まず眠らず、24時間・365日の連続勤務に耐えられるRPAは、夜間や休日も関係なく、平日昼間とまったく同条件で稼働することができます。

こうした特徴を生かし、RPAユーザーの中には「従業員による利用で日中混雑しているシステムに、ロボットを夜間の自動実行でアクセスさせ、日中の事務処理の一部を肩代わりさせる」運用で効率化を達成している例もみられます。

導入効果その5:従業員のストレスを減らす

効果の5つ目は「従業員のストレスを減らすこと」です。

ヒューマンエラーを防ぐため、スタッフ全員が常に慎重な作業を心がけ、何重にもわたるチェック作業を繰り返している職場は、決して珍しくありません。

絶対間違えられない項目の確認作業や、目を酷使する照合作業が長時間続けば、当然のことながら作業者である人間には多大なストレスがかかります。この点で、どれだけ煩雑な作業を繰り返してもミスを起こさず、照合作業も軽々とこなすRPAの積極活用は、従業員のストレス軽減に大きく寄与する方法といえます。

導入効果その6:人が取り組むべき仕事に集中できる

効果の6つ目は「人が取り組むべき仕事に集中できること」です。

先進的なRPAユーザーの多くは、「定型作業からの解放で、人しかできない創造的な業務に従業員を集中させたい」ことを導入の理由に挙げています。

既存の業務をRPAに引き継いで得られた時間を、従業員が業務改善や新規顧客開拓、企画業務といった「人が取り組むべき仕事」に活用している例は、実際に数多くみられます。また、そうした取り組みによってもたらされる新たな展開の中においても、人とデジタルレイバーのさらなる共働が期待されています。

導入効果その7:コンプライアンス・ガバナンスの強化

効果の7つ目は「組織内のコンプライアンスやガバナンスを強化できること」です。

企業秘密や個人情報といった、特に取り扱いに注意を要するデータの処理をRPAに置き換え、人を介在させないようにすることは、コンプライアンスやガバナンスの強化に直結します。直ちに結果を出せる点で、RPA活用全般の中でも特に注目すべき分野の1つといえるでしょう。

情報を人の手に触れさせないことで、不正利用や流出のリスクを抑えられるのはもちろんですが、不測の事態がそもそも起こりえず、あらぬ疑いをかけられない環境をつくることは、大切な従業員を守ることにもつながります。

導入効果その8:人件費(残業代など)を削減

効果の8つ目は「人件費(残業代など)を削減できること」です。

人件費の削減は、とりわけ経営へのインパクトが大きい効果です。例えば、採用難などの事情があって繁忙期の残業や休日出勤が多発している職場では、RPAを活用した業務効率化を進めることで割増賃金の支出を抑制でき、販管費の抑制や原価の低減が可能となります。

従業員の雇用に際しては、給与のほか法定福利費や採用・研修など、さまざまなコストがかかります。もちろんRPAにも初期費用と維持費がかかりますが、フルタイム派遣社員1人分の人件費と比べると、おおむね3割程度の支出で運用できます。特に、昼夜を問わず連続稼働できるロボットの強みを生かせれば、圧倒的なコスト優位が実現できるでしょう。

導入効果その9:業務に合わせた増減・変更が容易

効果の9つ目は「業務に合わせたリソースの増減・変更が容易になること」です。

RPAのユーザーは導入前に比べ、処理能力の増減や作業内容の変更を、実情に応じて柔軟にできるようになります。

例えばロボットは、想定量以上の作業を迫られても人間と異なり、完了まで何時間でも稼働させることができます。逆に想定された業務がなくなった場合も、休ませたり配置換えしたりと、管理者が気兼ねなく運用できます。

また、RPAのカスタマイズはシステムの改修に比べてずっと容易なので、もし接続先のシステムが突然仕様を変更しても、それに合わせて迅速に対応することが可能です。

さらに、毎月・毎年訪れる繁忙期対策として計画的・重点的なロボット化を進めれば、業務量が変化しても現場の負担を一定範囲に収めて安定させる「平準化」が実現できます。

導入効果その10:“人材難”に悩まされない

効果の10個目は「“人材難”に悩まされなくなること」です。

例えば、RPAによる業務効率化で長時間労働や連続勤務を解消できれば、従業員の満足度や定着率、アウトプットの質などの向上が期待できます。

またRPAを活用すれば、急激な業務量増大に見舞われた場合も臨時スタッフの募集や選考、採用に時間をかける必要がなくなり、より早く処理体制を構築できるようになります。

RPAは的確な指示を一度与えればただちに正確な作業を繰り返せるため、人間のような研修期間は要りません。感情的な理由でトラブルを起こす可能性はゼロ。突然辞めることもありません。特にマネジメント層にとって、こうしたメリットはとても魅力的に映ることでしょう。

導入効果その11:業務プロセスを見える化・標準化

効果の11個目は「業務プロセスを見える化・標準化できること」です。

RPAユーザーが運用を定着させ、適用対象を広げていく中では、ロボット化した工程の前後を含め、業務の全体像を洗い出し、より効率的な手順に見直したり、全員共通の方法に揃えたりといった「見える化」「標準化」が重要となります。

これらはRPAに限らず、どんな手段で業務改善を進めるときも避けて通れない取り組みですが、通常業務にない追加工数を生じさせることとなるため、現場の理解と協力が欠かせません。それだけに、まず現場を楽にできるRPA活用の一環として進めることが、見える化と標準化の徹底、そして成果の最大化につながると考えられます。

導入効果その12:現場の改善意識が向上

効果の12個目は「現場の改善意識が向上すること」です。

人の手で処理してきた業務から定型作業を抜き出し、そっくり同じ手順を自動実行できるRPAは、導入した現場の従業員に対し「代わりにやってもらえて楽になった」という、即効的で分かりやすいメリットをもたらします。

業務を改善して得られるメリットを現場が実感すると、「前からそうだったから」という固定観念によって温存されてきた非効率なやり方を見直そうという機運が、一気に高まります。そのため特に、業務改善を通じて組織風土を変えたい場合や、大規模な業務改革を計画している組織では、まずRPA活用から着手することが有効な戦略となりえます。

 

 

RPAの導入事例はこちら

 

 

導入効果の測定方法―「定量効果」と「定性効果」

ここまで挙げたさまざまな導入効果のうち、

  • 数値化できるものは「定量効果」
  • 数値化できないものは「定性効果」

と呼ばれています。

例えば、その1(処理時間の短縮)、その2(ミスの減少)、その8(人件費の削減)などは定量効果に分類でき、その5(従業員のストレス減少)、その12(改善意識の向上)などは具体的数値で表しづらい定性効果に分類されます。

このように大きく2タイプに分けたとき、RPA導入プロジェクトを成功させたい責任者・担当者が最も意識すべきなのは「定量効果」です。

「そもそも定性効果目当てでRPAの導入を検討している」ケースもあるかもしれません。ただ実際にプロジェクトを進めるにあたっては、達成状況を客観的に把握でき、メンバー全員の認識をそろえやすい定量効果ベースで目標設定することを強くお勧めします。

定量効果の代表例1:リソース創出効果(削減時間)

RPA導入で得られる定量効果のうち、リソース創出効果、つまりロボット化に伴って削減できた作業時間の量は、注目されることが最も多い指標です。

定量的なリソース創出効果は、次の計算式で求めることができます。

y=a-(b+c)
y・・・ロボット化で創出されたリソース(削減時間)
a・・・手作業で処理した場合に見込まれる時間(1回あたり時間×実行回数)
b・・・ロボットによる処理に要した時間(同上)
c・・・ロボットの開発運用に要した時間
(なお、bやcを考慮に入れず「ロボット化で不要となった作業の時間」であるaだけでリソース創出効果を算出する場合もあります)

a、b、cの各要素については、次のように考えられます。

【作業時間についての考え方】
aとbの差が大きい、つまり繰り返し作業を速く正確にこなすRPAへの切り替えで、人が定型作業から解放される時間が多いほど、導入効果が高いといえます。

aとbは、いずれも
「1回あたりの作業時間」×「一定期間内(月または年)における実行回数」
の掛け算によって求められます。

そのため、頻度が多い作業や、多くの部署で共通する作業を優先的にロボット化すれば、もし1回あたりの短縮時間がわずか数分程度でも、トータルの実行回数を積み上げることで十分な定量効果を得られる可能性が高まります。

【ロボットの開発運用時間についての考え方】
ロボットの開発運用時間であるcは、定量効果の算出においては、なるべく短いほうが有利となります。

実際には、RPA導入から時間が経つにつれて開発者が習熟し、既存の成果物を“使い回し”できる場面も増えるため、開発運用はスピードアップし、定量効果を改善していく傾向にあります。また、RPA活用が定着し、ロボットが長期間・高頻度に利用されるほど、開発運用時間が定量効果に及ぼす影響は相対的に小さくなる関係にあります。

さらに、社内人材がRPAに習熟していない導入初期については外部のサービスを利用することで、定量効果の計算からcを除外することも考えられます。

RPAユーザーの中には、ロボットの開発時間について「稼働1回で見込まれる削減時間の最大15倍」といった目安を設け、開発に着手する順番の判断材料としている例もみられます。

定量効果の代表例2:費用対効果(人件費の削減効果)


RPAで得られる定量効果のうち、特に経営の視点から重視されるのが「費用対効果」です。

ここでいう費用対効果は、「ロボット活用によって削減できた人件費の総額が、ロボット化に要した費用をどれだけ上回ったか」を意味し、具体的には次の計算式で求められます。

z=(y×d)-e
z・・・削減できた人件費
y・・・ロボット化で創出されたリソース(削減時間。計算方法は既述のとおり)
d・・・単位時間あたりの人件費
e・・・RPAの導入運用に要した費用(ライセンス費用、開発者人件費などの合計)
(ユーザーの導入目的や推進体制によっては「ロボット化で不要となった人件費」のみを指標とし、eを算定対象から外す場合もあります)

人件費dの算出にあたっては、割増賃金を含む給与のほか、健康保険料をはじめとする法定福利費の事業主負担分や、人を採用する際に必要な事務費、広告費なども考慮する必要があります。それらを個別に見積もるのが難しい場合は、おおむね「年収の2倍相当額」を時給に換算するとよいでしょう。

RPA 導入における費用対効果の考え方

RPA導入で費用対効果を高めるポイント

ポイント1 – RPA導入・運用にかかるコストを把握する

RPA導入の費用対効果を高めていくためには、その導入にかかるコストを把握しておく必要があります。しかし、事前の見積もりが甘いまま導入してしまうと、後になって費用が膨らんでしまう可能性があります。

RPAの導入で業務効率化が実現して人件費が削減できたとしても、RPAの維持にそれ以上の費用がかかってしまうと、費用対効果を得ることはできません。しっかりと効果を得られるよう、事前にコストを把握しておきましょう。

代表的なコストは下記があげられます。
・RPAツールのライセンス費用
・サーバやパソコンなどのハードウェア費用
・RPAツールの導入支援や外注費用
・RPAツールの保守や運用およびその支援費用
・ロボットをメンテナンスするためのコスト

ポイント2 – 定性的な効果についても考える

RPAを導入する際は「〇〇時間の削減」「コストを〇〇%削減」など、定量的な目標を立て、効果測定をしていくことは重要です。同時に、数値では測れない定性的な効果にも目を向けていきましょう。

例えば、人間からロボットに業務を移管したことでミスがなくなり、従業員が精神的な負担を感じにくくなることは、従業員のモチベーションにも大きく関わります。また、ロボットによりスピーディーな対応が可能になり、顧客の満足度が上がったというケースも存在します。直接的に数値で測れる部分だけではなく、定性的な効果を生むためにはどうしたら良いかも積極的に検討していきましょう。

ポイント3 – ロボットに任せる・任せない業務を見極める

RPA製品を導入し、その効果を最大限発揮させるためには、自動化に向いている業務とそうではない業務を適切に幹分けることが大切です。ロボットが得意な業務としては、定型の業務フローが決まっているルーティンワークです。逆に、イレギュラーな対応やクリエイティブな思考が必要な業務は向いていません。

業務を洗い出し、どの業務をRPA化したら高い効果を得られるのかをしっかり見極め、優先順位をつけてロボット開発していきましょう。

ポイント4 – 他ツール・システムとの連携

RPAツールは他のシステムと連携させ、より高い効果を出すことも可能です。例えば、OCRツールと連携させると、文字情報の認識からシステムへの入力までワンストップで行うことが可能です。その他、会計システムや受発注システムなどとも連携できるので(連携の可否についてはツールごとに要確認)、それぞれの用途や目的に合わせて連携し、RPAをフル活用していきましょう。

「やりたくない仕事の解消」から始め「こまめな数値化」に成功したユーザーが導入効果を最大化する

RPAの導入効果を最大化するには、獲得したい定量効果をあらかじめ明確にした上で、「計画」「実行」「検証」の各段階で数値に基づく評価を行い、さらなる最大化に向けた改善のサイクルを回すことが必要です。

また同時に、数値で表しにくい定性効果を評価・測定する方法として、導入現場のスタッフからアンケートや対面などで意見・感想を求めることも欠かせません。

とはいえ、測定に値する程度の定量効果を出し、また定性効果が現場から続々と寄せられるようになるまでには、RPA導入推進の取り組みに、ある程度の“勢い”がついていなければなりません。

取り組みの初速をどう出せばよいか、うまくイメージできない場合にお勧めしたいのが、「パソコンで処理している『やりたくない仕事』を現場から募り、技術的な難易度が低いものから順に、実際に開発して披露する」方法です。

やりたくない作業からの解放が見えて「これでストレスが減る」などと感じた人がいれば、まさにRPAの定性効果がはっきり現れたことになります。かりにこの時点での時間短縮効果がわずかであっても、RPAの効果を実感した人は活用に協力的になり、また新たな活用のアイデアも浮かびやすくなります。そうした人が徐々に増え、導入推進に向けた組織の機運が高まったタイミングで数値目標を示し、一気にまとまった定量効果の獲得を狙いに行けば、成功確率は飛躍的に高まることでしょう。

まとめ

日本国内の少子高齢化がいよいよピークを迎え、深刻な人手不足が懸念される中、人が担ってきた定型作業をより速く・確実に処理できるRPAは、組織に属する全ての人がメリットを実感できる、ポテンシャルの大きいテクノロジーです。

導入によって期待しうるさまざまな効果の中から優先的に実現したいものを特定し、職場の「やりたくない仕事」を解消する効果をまず実感してもらって推進ムードを高めた上で、数値化できる定量効果をメーンの指標に据えて取り組みを進めれば、きっと当初の想定を上回る成果が得られることでしょう。

 

 

RPAで業務効率化を実現した導入事例20パターンを解説