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日本国内は超少子高齢化社会を迎えており、多くの業界・業種で人手不足が課題となっています。特に建設業は慢性的な人手不足の状況で、従事者数は減少、復興・五輪需要の中で有効求人倍率は上昇傾向にあり各企業は人材確保が大きな課題となっています。
本記事では建設業の人手不足の現状とその理由や、生産性向上に向けたAI・RPAなどテクノロジーの活用や多様な人材の活用、待遇・福利厚生の改善といった対策方法について解説していきます。
建設業界の現状と動向
国内の建設投資は2012年から2019年にかけて増加傾向となっており、建設業界の需要の高さが伺えます。2019年には民間と政府の建設投資額は65.3兆円(見込み)となっており、建設業界の規模の大きさが以下のグラフからわかります。
出典:業界動向 SEARCH.COM「建設業界」
大手ゼネコン5社の2020年決算によると、大林組が売上高前年比1.6%増、鹿島建設が1.9%増、大成建設は6.1%増、清水建設は2.0%増、竹中工務店(2019年12月決算)は0.1%減と、いずれも伸び率は増加および横ばいとなっていますが、変わらず建設業界の需要はあるようです。 しかし、建設業界で大きな課題となっているのが、少子高齢化による人手不足の問題です。
少子高齢化問題と建設業界の人手不足問題
日本は少子高齢化問題を抱えており、先進諸国では日本同様に少子化や高齢化が進んでいますが、その中でも日本は群を抜いて少子高齢化問題が深刻化しています。
そのような状況下、昨今大企業・中小企業に関わらず人手不足に悩んでいる企業は多いようです。2021年に行われた東京オリンピック後も建設業界は堅調に需要が増えると予想されています。2025年の大阪万博、2027年開業予定のリニア新幹線に関わる工事など、建築業界の仕事は豊富にある状況です。
さらに国民の新型コロナウィルスのワクチン接種完了により、2022年以降は観光業界の盛り上がりによるさまざまな観光施設のリニューアルや新設なども増えると予想され、観光ビザ制度の緩和も進むでしょう。
その他にも、少子高齢化に関わる大きな問題のひとつとなっている、高齢者のための福祉施設不足の対策に向けた建設や福祉施設のリフォームなどもあります。そのため、東京オリンピック後も引き続き建設業界の需要はあると考えられます。
しかし、建設需要に対して、建築業界は慢性的な人材不足となっています。厚生労働省の「建設業における若年労働者確保の課題について」(2017年)によると、建設業従事者は2016年には約3分の1が55歳以上となっており、他産業と比べると高齢化が進行しています。
出典:ゼネコンが悲鳴!若者離れ、人手不足に悩む建設業界の将来性
このまま高齢化が進むと「需要があっても供給が追いつかない」という状態に陥ります。実際に1995年から2015年の20年間の建設業就業者数の推移を見ると、全産業の就業者数はほぼ横ばいであるのに対して、建設業は年々減少傾向にあるのがわかります。
関連記事:企業がすぐ始めるべき 8つの人手不足対策・人手不足解消法とは?改善事例も含めて徹底解説!
建設業が人手不足になる4つの原因
日本の少子高齢化問題と人手不足が建設業界に密接に繋がっていることは言うまでもありません。このような状況下で建設業界に関わる企業はどのように対処すべきでしょうか。具体的な対処法の前に、想定される人手不足の課題をみていきましょう。
給料の低さ
仕事に就く上で、多くの人々の指標となるのが、給与や年収などの報酬に関わる面です。業界動向SEARCH.COMの調査によると、建設業界の平均年収は744万円で25位と長時間労働や変則的な業務時間の割に給与は高いわけではありません。そのため、若者が建設業界から離れ業界全体の人手不足に繋がっていると考えられます。
長時間労働
建設業界の大きな課題のひとつに長時間労働があります。建設業界は、災害対応やインフラ整備などの大変重要な役割を担っています。その一方で、建設業の担い手は減少の一途をたどっており、10年後の団塊世代大量離職によりさらに人手不足になることが予想されています。
建設業はほかの業界や産業と比べて残業時間が多く、週休2日の採用も少ない状況です。2016年度の厚労省の調査によると、年間実労働時間では、産業平均1,720時間に対して、建設業は2,056時間。年間出勤日数は、産業平均222日に対して、建設業は251日となっています。
4週8休制(週休2日相当)の適用は5.7%と非常に少なく、約65%が4週4休(週休1日相当)以下となっており、大変厳しい労働環境に加え給与水準もほかの製造業と比べて低くなっています。多くの企業が自由な働き方の推進や労働環境を整備している一方で建設業の長時間労働は大きな課題と言えるでしょう。
アナログ経営によるデジタルの壁
経済産業省が発表したDXレポートで、多くの企業がさまざまな立場からDXを進めています。しかし、建設業界はDXどころかデジタイゼーションも進んでいない企業が多いようです。
日本の企業でDXへの取り組みが進んでいるのは10%程度です。さらに経済産業省が公開した「DX銘柄2020」の中で、デジタル技術を前提としたビジネスモデル・経営改革に取り組む上場企業を選定した内訳を見ると、対象企業約3,700社から選定された35社のうち、建設業は2社という結果でした。この結果からも分かるように、建設業はDXへ積極的に取り組んでいるとは言えない状態です。
社会評価と現実の乖離
建設業は全国各地でわたしたちの日常生活に必要不可欠な、道路や鉄道などのインフラの整備から家やアパート、ビルなどの建設まで入り込んでいます。しかし一方で、建設業務の社会的評価は必ずしも高いとは言えないでしょう。
現在では多くの建設関連企業で働く環境の整備が進んでいますが、古くから言われている3Kといわれる「きつい」「危険」「汚い」といわれることもまだあります。肉体労働できつい、高所作業などがあり危険、工事現場は汚いというイメージにより若者離れが起こっているのも事実です。
経済産業省の調査によると、1995年は64万9,000人だった20~24歳の建設業界入職者数が2010年では15万5,000人と、7割も減少しています。このように建設業界の社会評価と現実の乖離をどう埋めるかが、人手不足対策の重要な対策ポイントの一つとなるのではないでしょうか。
建設業の人手不足に有効な対策方法
これまで建設業界の人手不足の原因や要因について解説してきました。一見、ネガティブなイメージを持つ方も多いようですが、人手不足に有効な対策や企業で取り組むべき施策は多く存在します。具体的にどのような対策や施策が良いのか事例も踏まえてご紹介していきましょう。
AI・RPA導入による時間創出
近年さまざまな企業がAIやRPAなどのテクノロジーを活用した人手不足対策で大きな成果を出しています。もちろん、建設業界も例外ではありません。特にRPA(ロボティク・プロセス・オートメーション)を活用した業務プロセスの自動化は時間創出が大いに期待でき様々な企業で利用されています。
当社のBizRobo!も建設業界を中心に多くの業界業種で活用され、単なる業務自動化にとどまらず余った時間を売上向上のための活動や新たな企画を考えるなど、人にしかできない業務に集中することができている、との声も上がっています。
例えば、日本インシュレーション株式会社ではBizRobo!を導入し、毎日、定時後に対応していた作業をRPA化。担当者の残業を解消している。その他にも導入後にさまざまな効果・効能が出ているという。具体的な事例を知りたい方は以下から事例ダウンロードしてみてください。
労働環境を整える
国内の人手不足は、企業にとっては優秀な人材確保の競争になることは説明するまでもないでしょう。人材確保のため多くの企業は、労働環境を整えています。そのため、建設業界でも働きやすい環境の整備や福利厚生を考える必要があるでしょう。
他の業界や競合企業が働きやすい環境を整えているのに、自社の働く環境整備や福利厚生が整備されていなければ人材採用が困難となり、最終的には人手不足に陥ってしまいます。社員やスタッフの労働時間の確認やシフト体制管理、連続勤務を避けるなどの仕組みをを構築することは必要不可欠でしょう。また、新型コロナウィルスの影響により多くの企業がテレワークやリモートワークを実施しています。出社せずとも業務遂行できる環境やネットワークインフラを整えることもおすすめします。
シニア世代・外国人労働者の積極的な採用
日本国内の人手不足を解消するには、今まであまり重視してこなかった層への採用も考えていく必要があります。たとえば、高齢化社会の日本ではシニア世代は重要な労働力となります。
また、グローバル社会が進む中で外国人労働者の採用は、建設業界の海外展開や観光者向けの対応など重要される人材となってくるでしょう。
一方で、採用幅を広げるということは、これまで以上に雇用環境の見直しもしなければなりません。特に外国人の採用では日本人とは異なる法の遵守が必要で、先に環境整備を進める必要があります。どのような人材でも気持ちよく働くことができる環境を整えることは、令和時代ではとても重要な人事戦略となるでしょう。
建設業界での導入事例
八尾トーヨー住器株式会社
1974年設立の大阪府八尾市に本社を置く八尾トーヨー住器株式会社は、住宅用建材販売業・建築工事業等を営んでいます。近畿地方各地に拠点を置き、工務店向けのアルミサッシ販売をはじめとする企業間取引を主力とする一方、住宅の建築やハウスクリーニングなどのBtoCビジネスも手がける、従業員数約150人の企業です。
2019年より働き方改革の一環としてRPAを導入していましたが、当初外部に委託していた開発が停滞したことから、実務に通じている社内人材による開発に転換することを決め、自社のニーズにふさわしい機能・性能を備えたツールと評価した「BizRobo! Lite+」に全面移行しました。
本格導入から2年余を経て、社内開発者3人が作成したソフトウェアロボット80体が20業務で稼働しており、累計で1,300時間相当以上のリソースを創出。作業時間の短縮という直接的な効果のほか、手作業からRPAへの移行過程で進展した業務の簡素化・標準化も生産性向上に貢献しています。
関連記事:開発外注で直面したRPA定着の壁。 BizRobo!での自社開発に転換、20業務への活用を達成
株式会社マエダハウジング
広島市に本社を置く株式会社マエダハウジングは、実績3万件以上の住宅リフォームを主力とする施工会社です。2023年1月に創業30周年を迎えた現在、広島県内にショールーム6拠点を展開しています。
価値あるサービスの提供と社員の幸福を両立する経営理念の実現に向けた一環として、パソコン上の定型作業を自動実行できるRPAを用いた生産性向上に着手し、「BizRobo! Lite+」を2021年秋に導入しました。
翌年新卒入社した社員がほぼ1人で担ってきた社内開発では、新鮮な視点で現場の声を拾い、改善のポイントを発見。既に年間900時間相当の人的リソースを創出しています。
デジタル化を機に、既存業務の置き換えにとどまらない抜本的な改革を進める方針の同社は今後、RPAの社内開発者をさらに育成。全社的な施策を統括する専門部署の創設も計画中です。
関連記事:「1日がかりの作業から完全解放」の例も。人手不足の建設業界で発揮されるBizRobo!の真価
まとめ
いかがでしたでしょうか。国内の建設・建築やインフラ整備に関わる建設業界は深刻な人手不足の状況です。しかし一方で、自社の現状をしっかりと把握し、どのような改善をすれば良いか明確にすることによりさまざまな人手不足対策の方法がみえてきます。
近年多くの企業で導入されている新たなテクノロジーや業務改革による改善の余地はどの企業にもあるでしょう。ぜひ、RPAやAIによる業務プロセス改善を検討されている方は当社へお気軽にご連絡頂けますと幸いです。