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RPAで医療業界の人材不足解消へ

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RPAとは

「RPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)」とは、ロボットによる人の業務を自動化する取り組みを表す言葉で「デジタルレイバー(Digital Labor)」や「仮想知的労働者」とも呼ばれます。通常業務のなかには、ルーチンワーク(定型業務)として行っている作業も少なくありません。そうした大量の定型業務を人が行うと、単純な間違いといったヒューマンエラーが起きる可能性がないとは言い切れません。そのようなミスをなくすため頻度の高い作業をロボットで自動化できないか、という発想から生まれたのがRPAです。

現在、RPAは多くの業界で利用され始め、人材不足が深刻化する医療業界ではその効果・効能に大きな期待が寄せられており、医療業務に対応できる技術として注目を集めています。RPA「デジタルレイバー」は単なるRPAツールとしてではなく、医療業務全体を把握し人と協働することにより医療業務の分担・人間と共存し人材不足改善に寄与する働きをみせています。
関連記事:RPAとは?RPAを導入するメリットから導入方法までをわかりやすく解説!

医療とRPA(ロボット)

民間の事業会社でRPAの導入が急激に進む中、医療現場でのRPA導入や活用の可能性についても徐々に取り上げられるようになってきました。医療業界ではどのような課題があり、その課題に対してRPAを活用できるのでしょうか?

医療業界の看護師不足原因について

近年、医療業界で問題となっている医師・看護師不足の背景には様々な要因があります。看護師は離職率が高いことで知られていますが、理由のひとつとして、約95%の看護師が女性であることがあげられます。女性の場合、結婚や育児などライフスタイルの変化が男性と比べ比較的多いため、定年まで同じ仕事を続ける人が少ないのです。しかし、人材不足の理由はそれだけではありません。定職しない本当の理由は看護師の過酷な労働環境にあると言われています。日本医療労働組合の調査によると人手不足が深刻化し、年次有給休暇の取得率が下がり、夜勤・交替制勤務による過労や疲弊などの実態が浮き彫りになっています。

出典:2017年看護職員の労働実態調査結果報告

医療業界の経営困難と人手不足を救うRPA?

医療業界では経営困難・人手不足が深刻化しています。東京商工リサーチによると、2018年度の診療報酬と介護報酬の同時改定を前に、2017年(1-12月)の「医療,福祉事業」の倒産は速報値で249件にのぼり、介護保険法が施行された2000年以降で最多に達した。このうち、業種別で最も多かったのが「老人福祉・介護事業」の111件(前年比2.7%増)で、件数を押し上げた。
また、「医療,福祉事業」の負債総額も2年連続で前年を上回ったが、全体では負債1億円未満の小・零細規模が84.7%を占めるなど、小規模倒産が目立ちました。高齢化社会の成長産業として注目される医療福祉業界だが、介護職員の人手不足が深刻化するなど、経営のかじ取りが難しさを増し、業界内では淘汰の動きが加速しています。

RPA医療

出典:「医療,福祉事業」の倒産状況(2017年12月29日現在)

2025年には団塊の世代(第一次ベビーブーム世代)がすべて後期高齢者になり、看護職員は約200万人必要になると予測されています。しかし、実際の看護職員数は約160万人になる見込みとなっており、約40万人の人材不足になると言われています。加えて、介護人材についても、2025年の需要が約253万人と予測されているが、看護職員は171万人に止まると予想され、80万人程度の人材不足が想定されています。

これらの人材不足はもう既に医療現場で始まっており、医療機関や在宅医療にいる医師や看護師などが現場で課題の解決策を模索しています。その中で現在注目を集めているのが医療の事務業務を自動化できるRPAです。

医療現場での働き方改革の必要性

国がさまざまな業界の働き方改革を進める中、医療業務も改革の例外ではない。業界特有の過重労働などの課題を背景に新たな医療の在り方や医師・看護師等の働き方に関する検討会が開催されている。現場の過重労働を軽減するために、新たな考えの必要性や医療を取り巻く根本的な構造の変化や働き方の改革に関する方向性や具体的方策が必要である。医師の適切な働き方とはどのようなもので、それを実現する方策はあるのか。現場では働き方改革に関するさまざまなディスカッションが進められている。

医療現場における働き方改革の方向性を考えるためには、まず医療業界を取り巻く全体の構造変化を知ることが必要となります。医療現場ニーズの変化に対応し人材を確保していくには、「医療サービスの質」及び「医療業務負担軽減」の改善取り組みを進めていく必要があるでしょう。そのため、医療業務の負担軽減および医療サービスの質の向上に向け、RPA活用が進められています。

様々な課題を模索する中で「医療・看護・介護等業界においてRPAの普及・啓発を推進し、医療従事者等の働き方改革に貢献するとともに、医療機関等における労働生産性向上・コスト削減、収益向上及び医療安全に寄与することを目的」とした一般社団法人メディカルRPA協会が2019年に立ち上がり更にRPAの普及が急速に進んでいる。

医療現場におけるRPA(ロボット)導入

RPAを使うことにより、医療の事務作業量を削減することは可能で、実証実験により自動化の余地は十分にあるとされています。医師や看護師の仕事は診断だけではありません。ほとんどの医師・看護師は診療行為以外の事務作業を費やしています。また、医療職・事務職は、院内の相互連携していない複数システムを手入力や転記作業など手入力が必要になります。これらの定型業務は、RPAによる自動化可能な作業です。その他にも名古屋大学医学部附属病院の実証実験では会議開催案内メール送付業務、医師勤務時間計算業務、患者数統計データ作成業務、過誤納リスト作成業務、薬剤師一覧作成・更新業務などの医療業務の自動化事例もでてきており、医療事務の現場へRPAを導入することにより年間約9,800時間の時間創出が見込まれている。

関連ニュース:RPAテクノロジーズ「BizRobo!」が名古屋大学医学部附属病院で 全国医療機関のモデルケースを目指し、RPAツール「BizRobo!」本格導入開始 ~RPAを活用し、職員の働き方改革を実現する~

医師業務RPAにより1日当たり約41分は代行可能か!?

厚生労働省医政局の調査結果レポートによると、医師が担っている「医療記録(電子カルテの記録)」、「患者への説明・合意形成」、「医療事務(診断書等の文書作成、予約業務)」、「血圧等の基本的なバイタル測定・データ取得」、「院内の物品の運搬・補充・患者の検査室等への移送」のうち、約17%(1日当たり約41分)はコメディカル等の他職種で分担可能とされています。これらの他職種へ分担可能な業務はRPA導入による業務自動化・代行が可能です。

現在、医療業界では医療システム導入により、効率化を進めている病院は多くあります。しかし、医療現場では複数のシステム導入のため各システムが連携できておらず、手入力による作業や転記作業が発生している現状もあります。このような定型業務をRPAにより業務自動化し、本来注力すべき医療業務に従事できる環境を整えることが可能となります。

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医療業界で活用可能なRPA(ロボット)の特性

RPA(ロボット)は、「辞めない」、「働き続ける」、「変化に強い」という3点が挙げられます。

RPAは仕事を辞めることもありませんし、採用コストもかかりません。医療現場では上記で述べた通り、看護師のうち9割以上が女性のため、結婚、妊娠、出産、育児といったライフイベントにより仕事を辞めるケースが少なくないため、RPAによるロボットの業務自動化は大変有効だと言えます。医療事務の単純作業を自動化することにより、医師や看護師が本来注力すべき仕事に注力することができ医療サービスの質を向上することができるでしょう。

RPAは24時間365日働き続ける休みなく働き続けることができるため圧倒的な効率化の実現が可能です。現在医療業界では、人材不足などのさまざまな要因で深夜まで過酷な労働を強いられている医師や看護師は少なくありません。その上、人の命に関わる仕事のため質の高い業務を求められます。医師や看護師の定型業務などをロボット化することにより過重労働を軽減できるでしょう。

RPAはアプリケーションと違い日ごとに変わる業務の変化にも、ルールを書き換えることで柔軟に対応でき、同じ間違いを繰り返すこともありません。しかし、この強みゆえに想定されるリスクもあることから、RPA導入と同時に内部管理体制の強化が必要となります。

関連記事:【2019年版】RPA導入事例と効果・効能について

RPA導入が簡単な業務から小さくスタート

医療業界でもRPAに適している主な業務は他業界と大きく変わらず、財務・経理系業務や総務・人事系業務などになります。また、医事系業務や看護系業務においても、WordやExcelなどで作業・管理している業務等を中心にRPA導入の可能性があると考えられます。RPA導入及びロボット作成はコツコツ小さくスタートすることが重要です。RPAとの親和性が高く、自動化しやすい業務から少しずつ業務自動化していく形が望ましいでしょう。

RPA導入に失敗しないために

多くの医療業務でRPAの効果・効能は期待されていますが、RPA活用への道のりは簡単ではありません。それでは導入に失敗しないためには何が必要なのでしょうか?

RPA導入の前に医療業務の標準化から

RPAを導入する前に医療業務の洗い出し、標準化を実施することが必要となります。業務標準化とは、業務効率・業務品質・安全性などを総合的に踏まえ、最適な業務手順を設計し、その業務手順を徹底することです。業務標準化を実施することにより、人による業務フローのバラつきの排除、業務効率の向上業務品質の向上・安定等につながり、どのフローをロボットに任せると良いかが明確になります。

上記で述べたように、RPAを導入する際には、自動化する業務を標準化しなければならない。 RPAは、導入するだけで簡単に医療事務の業務自動化をするような「魔法のツール」ではありません。繰り返しになるが、まずは業務そのものを標準化することが必要となります。業務部門では、繰り返し実施する定型的な業務があるのにも関わらず、手順を決めていないがためにひとりの医師や看護師に属人化してしまっている業務プロセスが多いことがあります。看護師によって作業手順が違っていたり、業務効率に大きな差があったりする場合は、RPAを導入しても自動化することは難しい。この問題を解決するためには、まず全体の医療業務を棚卸し、その上でロボットで代行可能なカ所から業務を自動化します。

気をつけたいRPAの選定

RPAはツールのみでの選定をしてしまうと失敗することがとても多く導入後、多くのユーザーが活用できずに悩んでいます。導入前に現場型RPA(現場で本当に活用可能か)や自院や自社にあったサービスを提供そてくれるかなど確認するポイントがあります。BizRobo! はRPAサービスとして現場に寄り添った自立自走型デジタルレイバーを提供していますのでお気軽にご相談ください。

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