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RPA導入における費用対効果は?評価カテゴリーから算出方法まで徹底解説

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ビジネスのデジタル化が進む現代において、多くの企業が業務プロセスの効率化を追求しています。

その中でも、RPA(Robotic Process Automation)は、タスクの自動化と効率向上を可能にするテクノロジーとして注目を集めています。

しかし、RPAの導入にはコストがかかるため、その費用対効果を正確に評価し戦略的な意思決定を行うことが必要になってきます。

そんな費用対効果の算出の仕方や評価方法について、悩まれている方はいないでしょうか。

本記事では、そんなRPA導入における費用対効果を徹底的に解説します。

RPAの導入にあたり、費用対効果を評価するカテゴリーは何か、算出はどんな方法で行うべきかなど重要なポイントを掘り下げて解説します。

RPAの導入に関する費用対効果について、モヤモヤしている方の一助になれば幸いです。

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RPA導入の増加とその背景

近年、RPAの導入が急速に増加しています。

この増加にはいくつかの要因が影響しており、その背景として以下のような理由があります。

生産性向上による競争力の維持と強化

日本では少し前より少子高齢化によって労働人口の減少が予想されています。

そのため、各市場での競争力の維持と強化をするために、人でなくてもできる業務に関してはRPAに任せ、それぞれの従業員が価値を創造できる業務にシフトしていっています。

適用範囲の拡大と技術力の進化

RPAが注目され始めたのは2016年後半ごろからですが、その時代はIT投資に積極的な大企業への導入にとどまっていました。

しかし、IT技術が進化することで使いやすいツールや、それぞれのニーズに対応する製品が多く登場しました。

それによって、導入する企業が増え、また自動化を適用する範囲も拡大しRPA導入が増加しています。

デジタルトランスフォーメーションへの対応

日本におけるDXは、2018年に経済産業省が「デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するためのガイドライン」(※1)を取りまとめたことを契機に広がり始めました。

そんなデジタルトランスフォーメーションの一環として、業務プロセスの自動化は効果も大きく取り組みやすいことも相まったため、RPA導入する企業が増えています。

費用対効果とは?

費用対効果 [ROI (Return on Investment)] は、特定のプロジェクトに対して投入した「費用」とそのプロジェクトから得られる「利益」や「効果」がどれぐらいなのかを評価する指標です。

これは、企業や組織がどれだけのリターン(利益や効果)があるのかを評価し、投資判断をする重要な要素となります。

費用対効果とROIの違いは、費用対効果は投入した費用に対して得られた効果を「金額(円)で評価」するのに対して、ROIは「投資効果を率(%)で評価」し効果を算出します。

[費用対効果の計算式]
費用対効果 = 利益や効果 - 費用
[ROIの計算式]
ROI = (利益や効果 – 投資費用) ÷ 投資費用

RPAの費用対効果対象となる項目は?

そんな費用対効果ですが、もちろんRPAを導入する際も投資判断をするために必要な要素となります。

では、RPAの費用対効果を図るためには、どんな項目があるのでしょうか。

「RPA費用項目」「RPA効果項目」に分けて解説をします。

RPA費用項目

RPAを導入や運用によってかかる費用は以下4つです。

項目 費用説明
ライセンス費用 RPA製品を利用するために支払う必要がある基本的な費用。
保守・運用費 サーバーやデータベースなどの環境構築費用。RPA用にパソコンを準備したり、自社に合わせたセキュリティ対策なども環境構築費にあたる。
RPA開発・教育にかかる人件費 専門のエンジニアへ開発トレーニングを依頼する場合の費用。
サポート費用 RPA導入時に専門エンジニアにコンサルティングを依頼するサービスや、導入をサポートしてもらう支援サービスを依頼した場合にかかるサポート費用。

さらに、RPAにかかる費用は「直接的な費用」と「間接的な費用」に区分できます。区分を知ることで、不要なコストを判断する際の要素として有効です。

【直接的な費用】
RPAツールの導入や維持・管理するために、必ずかかる直接的な費用のことです。

  • ・ライセンス費用
  • ・RPA環境構築費用
  • ・保守・運用費

【間接的な費用】
RPAツールを利用するために、間接的にかかる費用のことです。

  • ・RPAの開発や教育にかかる費用
  • ・サポート費用

▼もっと詳しい費用内容を知りたい方は、下記記事をチェック
RPAの導入費用はどれくらい?価格相場と選び方のコツを解説

RPA効果項目

費用にばかり目がいきがちですが、正しく効果内容を知ることが成功へのカギになります。RPA導入によって得られる効果の評価項目は「定量的効果」と「定性的効果2つです。

定量的効果とは、「量や数値で表すことができる効果」のことを指します。分かりやすい指標としては、人に代わりRPAが作業をすることで、削減された作業時間や人件費など数値で表すことができる効果を指します。

定性的効果とは、「量や数値で表すことができない品質に関わる効果」のことを指します。数値として出てこないため見えづらいですが、現場の変化を捉えるためには大事な指標です。

「定量的効果」「定性的効果」の詳しい評価内容を解説します。

【定量的な効果項目】

効果項目 説明
業務工数の短縮 人が実施していた業務をRPAに置き換えることで、どのぐらいの工数が短縮されたか
人件費の削減 RPAに置き換えたことで、どのぐらい人件費が削減されたか
売上の拡大 RPAを導入し生産性が向上した事で、どのぐらい売上の拡大に繋がったか
残業時間の減少 生産性の向上や業務工数が削減した事で、どのぐらい残業時間が減少したか
リードタイム短縮 業務をRPAに置き換える事で処理スピードの向上や、営業時間外の稼働が可能なことにより、どのぐらいリードタイムが短縮されたか
ミス件数の減少 定義されたルールにしたがい正確に稼働するRPAに置き換える事で、どのぐらいミスの件数が減少したか

【定性的な効果項目】

効果項目 説明
従業員のストレス減少 単純作業に使っていた時間が低減することからストレスが減少し、モチベーションアップが図れる
属人化の排除 属人化していた業務をRPAに置き換える事で、特定の人しか出来ない業務がなくなり事業の健全化が図れる
余剰労働力を活用した取り組み RPAを導入することで発生した余剰労働力を生かし新たな取り組みを開始できる
競合優位 変化し続ける市場状況に合わせた取り組みを実施し、競合他社に対し優位な状況を作り出せる
失注対策 ミスなどが減ることで、そこから派生する「顧客の信頼度向上」や「会社の信用向上」といった効果があり失注の対策となる
繫閑吸収 余剰労働力を活用し、繫閑吸収できる体制づくりが行える
BCP対策 余剰労働力を活用し、災害などの緊急事態下における事業計画について正しく策定できる

RPA費用対効果の算出方法

ここまでは、RPAを導入する際の費用や得ることができる効果について解説をしました。

次は、RPA費用対効果の算出方法について解説します。

RPA導入の失敗例として良くあるのが、「思ったほどの効果が得られなかった」「効果があったのかが分からない」といったことです。

正しく導入効果が実感できないと、費用の方ばかりに囚われてしまい、まるで失敗したかのように映ってしまいます。

そういったことがないよう、正しく効果を把握するための算出方法を理解しておきましょう。

また、費用対効果を算出するにあたり、以下の項目について計測しておく必要があります。

・RPA導入前の作業時間 [1件当たり(時間)/1か月あたり(件数)/1か月あたり(時間)]
・ロボットによる作業時間 [1件当たり(時間)/1か月あたり(件数)/1か月あたり(時間)]

定量的効果による算出

今回は定量的効果として分かりやすい「業務工数の短縮」と「人件費の削減」を例に挙げて解説します。

業務工数の短縮

RPA導入による業務工数の短縮
業務工数の短縮時間は、「人が業務をしていた時にかかっていた時間」から、RPA導入後に「ロボットで業務をした時にかかった時間」をマイナスすることで算出できます。
【算出事例】
8時間(業務にかかる時間) – 1時間(ロボット実行にかかる時間)=7時間(削減時間)

人件費の削減

RPA導入による人件費の削減
人件費の削減については、上記で算出した「業務工数の短縮時間」から、その作業にかかった「人件費」をかけることで算出できます。(人件費は一般的に給与の2倍の1時間あたりの金額を想定して算出します)
【算出事例】
7時間(削減時間)- 4,000円(1時間あたりの人件費)=28,000円(人件費削減)

定性的効果による算出

次に定性的効果について解説します。

定性的効果については、明確な数値で測れない効果のため「社員に対するアンケートやヒアリング」「1on1による面談」などにて効果を測定し算出します。
RPA導入による定性的効果による算出

正しく費用対効果を得る5つのポイント

先ほど、費用対効果の算出方法でも解説しましたが、RPA導入時に「思ったほどの効果が得られなかった」「効果があったのかが分からない」となってしまうケースが少なくありません。

そうならないためにも、ここでは正しく費用対効果を得るためのポイントについて、5つ挙げて解説していきます。

導入・運用コストを正しく評価する

第一にRPAを導入・運用するために必要な費用を「正確」に把握することが大事です。

導入費用としては、導入時にかかる初期費用とライセンス料としてかかるランニングコストがあります。

投資対効果を判断するために、かかる費用を正しく評価し把握しておく必要があります。

RPAに向いている業務を選別する

RPAはルールが決まっている定型的な作業の自動化が得意です。

そのため、自動化後にメンテナンスが頻繁に発生するような業務に適用してしまうと、メンテナンス費がかさみ、費用対効果が低減してしまいます。

RPAを導入する際は、自動化対象とする業務を可視化し単純で定型なRPAに向いている業務かどうかを判断しましょう。

開発生産性をUPさせる

費用対効果を最大化するための考え方に「開発生産性」という指標があります。

開発生産性とは、企業や組織内で効率的にロボット数を増やすための指標となります。

ロボット開発を担う部署がポイントで、ITリテラシーの高いシステム部署だとRPAツールの利用に難はありませんが、現場で実施している業務に疎い可能性があるため、RPAの推進率が下がる=開発生産性が下がる可能性があります。

現場主導でRPAを推進した場合、現場で臨機応変に開発ができロボット生産性の高い体制づくりが可能になります。

定性的な効果を把握する

定量的な効果だけではなく、定性的な効果にも「長期的なスパン」で目を向けることが重要です。

1回あたりの削減時間が少ない作業だったとしても、従業員にとっては負担の高い作業も存存します。

定性的な効果については数値として見えないため軽視されがちですが、労働力を提供してくれている現場のモチベーションに影響するため、正しく把握する必要があります。

他IT技術と組み合わせ効果を高める

RPA導入時はRPAツールで効果を出すのはもちろんですが、他のIT技術と組み合わせて効果を高めることも可能です。

例えば、ベースとなる情報が紙媒体の業務があった場合、RPAだけでは紙媒体を読込処理することはできないですが、OCR(光学的文字認識)を使用しデータ化することで、人の手が介在しない自動化も可能になります。

費用対効果を成功事例から学ぶ

続いて、RPAを導入し投資効果を得た成功事例についてご紹介します。

実際にどれくらいの効果を得ることが出来るのか参考にしていただければと思います。

事例①:さまざまな部門を対象にRPA導入。年間20万時間の削減効果

NECマネジメントパートナー株式会社
NECグループ全体の業務改革推進プロジェクトの一環として、RPAを導入。

対象業務として、グループの経理・財務、人事・総務、資材調達、営業バックオフィス、情報システム等、さまざまな部門を対象に158業務でRPAツールの導入を進め、現在は716体のロボットが稼働している状況。

RPA導入の効果として年間20万時間以上の削減に成功しており、他にも単純な業務の見直し、汎用ツールの活用、システム改定等を行っており、ICTツールによる業務効率化効果は年間累計37万時間にも及ぶ。

▶詳しい導入事例を知りたい方はこちらをクリック

事例②:請求書処理作業を中心に月間3,650時間分の削減効果


生活雑貨を全国に展開する専門店「LOFT(ロフト)」を運営する株式会社ロフトでは、本部の管理系業務にかかる事務作業の負担軽減を目的にRPAを導入。

これまでは取引先から送付された紙の請求書を既存の会計システムへ手入力し決裁していた請求書処理業務だが、現在はAI-OCR・Excelマクロ・RPAを組み合わせ、情報取得・入力を自動化し費用対効果を創出している。

当初は1年間だけでも年間6,000〜7,000時間の削減効果を創出した。

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まとめ

今回の記事では、RPA導入における費用対効果として評価する項目やポイント、算出方法について解説しました。

・RPA導入の増加とその背後
・費用対効果とは?
・RPAの費用対効果対象となる項目は?
・RPA費用対効果の算出方法
・正しく費用対効果を得る5つのポイント

RPAは費用対効果が高い手段ですが、正しい評価項目やポイントを理解し活用しないと無駄な費用がかかってしまう可能性があります。

解説した内容を参考にしていただき、RPA導入への戦略的な意思決定の一助になれば幸いです。

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【出典】
(※1) 経済産業省|デジタルガバナンス・コード