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不動産業界で普及が進むRPAとは?その効果と導入事例から活用アイデアを紹介

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土地や建物を取り扱う不動産業界は、市場規模でみても非常に大きな業界です。

しかし、そんな不動産業界も地価の下落や労働人口の減少など、決して楽観視出来る状況ではありません。

また、インターネットを利用した情報媒体の多様化で取扱物件数や問合件数が増加した結果、対応するために社内業務が大幅に増えています。

そのため、不動産業界についても生産性の向上や業務効率化が喫緊の課題となり、RPAツールの導入が増えている状況です。

今回の記事では「RPAはどんなツールなのか」や「不動産業界における活用事例」「成功した導入事例」について解説をします。最後までご覧いただき、導入を検討している方の一助になれば幸いです。

不動産業界におけるRPA導入の背景

RPAの導入背景を解説するための準備として、はじめに「RPAとは、どんなツールなのか」について解説します。

RPAとは、どんなツールなのか

RPAとは、Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)の略語で、人が実施している単純作業や繰り返し行うようなルーチン作業を自動化できるソフトウェアロボット技術のことです。

RPAが得意としている業務はルールが定義されている業務や大量に処理が必要な業務などで、ルールが定義されていない人の判断が必要な業務については不得意です。

RPAについては下記記事で詳細を解説しているため、併せてご覧ください。

関連記事:
RPA(ロボティックプロセスオートメーション)とは

不動産業界が抱える課題

不動産業界が抱える課題_画像


次に、不動産業界が抱える4つの課題について解説します。

膨大な業務量

不動産業界に従事している方は、下記のように日々多くの業務をこなす必要があります。

・「顧客対応(来店・メール・電話)」
・「内見対応」
・「物件情報の管理(検索・登録・更新)」
・「売上管理」
・「進捗・目標管理」

また、毎年1〜3月は新生活シーズン、9〜10月は転勤シーズンなど時期によって繁忙期もあるため、1日の業務時間を超える膨大な量の業務が発生し対応する必要があります。

慢性化している残業

他の業界にもいえることですが、目に見える成果を出すために残業が「慢性化」している状況にあります。

繁忙期に業務量が増え「当たり前のように」残業が発生することもそうですが、不動産業界では顧客が仕事の関係で週末や夜遅い時間での内見を依頼されるケースも多くあり、労働時間や残業時間も他業界に比べて多くなる傾向にあります。

アナログな作業が多く根強く残る現場

不動産業界には、依然としてアナログな作業が残っており、デジタル化が進まない企業がたくさんあります。

例えば、物件情報などがFAXで送られてくるケースがあり、その送られてきた情報を従業員が手作業でシステムに登録するといった作業です。

また、日々の日報なども手書きで対応し提出しているケースもあるため、生産性が上がりにくい状況であるといえるでしょう。

ワークライフバランスの悪さ

「膨大な仕事量」や「慢性化している残業」にも紐づく内容ですが、どうしても1日のうち仕事が占めている時間が長くなってしまうため、ワークライフバランスが崩れてしまう傾向にあります。

その結果、体調を壊し働くことが困難になったり、仕事を続けることが難しくなり退職せざるを得ない状況になってしまったりなど、より生産性が落ちてしまう可能性があります。

不動産業界にてRPAが普及した背景

不動産業界にてRPAが普及した背景_画像


不動産業界の課題を解決する手段としてRPAが注目され、以下の理由から普及したと考えられます。

生産性が向上することによる作業工数・残業の削減

RPAを導入することで、残業で対応していたような日報の作成や物件情報の更新作業などの定型業務が自動化でき、生産性の向上や残業抑止に繋がります。

また、不動産業界では多く残っている紙を用いたアナログな業務も、OCR(Optical Character Reader)の技術とRPAを掛け合わせることで、人的リソースの創出に繋げられるでしょう。

人手不足の解消

国土交通省「不動産業ビジョン2030」社長年代構成比

国土交通省がまとめた「不動産業ビジョン2030」(※1)によると、現在、不動産業界における社長の平均年齢は「61.7歳」、後継者不在率は「68.9%」と高い数値です。

このことから、不動産業は将来的に人手不足になることが予想され、その対応策として、RPAを導入し定型作業をロボットに置き換えることで、人手不足解消の一助になります。

作業の正確性の向上によるヒューマンエラーの抑制

不動産の物件データは、広告規制や宅地建物取引業法、消費者保護法など規制が多く、ヒューマンエラーを防ぐために、入力後の漏れやミスのチェックに多くの時間と手間がかかります。

そこでRPAを導入することで、作業の正確性が向上し安定した品質で稼働ができるため、ヒューマンエラーを抑制できます。

営業活動の属人化を防げる

不動産業界では、一般企業のように標準化された業務フローがあるわけではなく、担当者のスキルや今までの経験を活かした営業活動を行うことが少なくありません。

RPAを導入した場合、スキルや経験を一定のルールに落とし込むことが可能で、対象業務の自動化が実現できます。結果的に営業活動の属人化が解消される可能性があります。

離職率の低下につながる

不動産業界は、長時間労働からくるワークライフバランスの悪さにより、離職率が高い傾向にあります。

長時間労働の要因として考えられるのが、雑多な事務処理や、日々実施している定型作業などです。

そういった業務にRPAを導入することで、従業員の業務負荷を軽減することができ、離職率の改善に繋げることができます。

不動産業界での活用事例5選

不動産業界でのRPA活用事例について5つ紹介します。

物件情報に関する情報の更新作業

RPAを適用することで、日々実施している物件情報の更新作業工数を大幅に削減できます。

手作業では、1つの物件を登録・更新するのに10分〜15分程度時間がかかりますが、RPAなら1分程でスピーディーに処理を完了させることが可能です。

また、空室情報などリアルタイム性が重要な情報についても、RPAを定期的に稼働するようスケジュールすることで、素早くサイトに反映できます。

これにより、業務負担削減だけでなく、空いたリソースを有効活用し収集したデータを使った、より深い分析や営業戦略の策定に注力できるようになります。

売上日報や各種帳票の作成業務

売上日報作成や各種帳票の作成については、決まったフォーマットにて処理されることが多いため、RPAでの自動化に適しています。

日報作成に必要なデータを他システムやExcelから情報収集し、日報の作成、そして上長への報告までを自動化することが可能です。そうすることによって、慢性化している残業などの削減に繋げられます。

問い合わせ対応

不動産の仲介業者には毎日数多くの問い合わせが来るため、RPAを適用することで大幅に工数を削減することが可能です。

例えば、ホームページやSNSなどからの問い合わせを受けた場合、質問内容から知りたい情報をシステムから検索し、その結果を自動返信するという仕組みを作ることで従業員の業務負担が軽減されます。

また、顧客の問題がスピーディーに解決できれば、サービスの満足度が向上しエンゲージメント強化にも繋げることができます。

紙資料からシステムへの入力作業

不動産業界にはアナログな文化が残っていて、FAXによる物件情報のやり取りや手書き文書での作業があり、従業員が内容を精査した上でシステムに手入力しています。

そこで、文字認識のテクノロジーである「OCR」を利用すれば、紙資料をデジタルに変換可能です。そのデータを使いシステムに登録するフローを自動化すれば、効率化を図ることができます。

また、オフラインで実施したイベントに対するアンケートなども、OCRで取り込みRPAで処理を実施すれば、結果の集計作業なども負担なく実施できます。

不動産業界へのRPA導入事例 5選

不動産業界への具体的な導入事例について、5つ挙げて解説します。今回、解説する事例で導入しているRPAツールは「BizRobo!」です。

事例①:Salesforceへの登録・転記作業の自動化


東京都内や埼玉県などで事業を展開するハウスメーカーの株式会社リガードは、さらなる事業規模拡大を見据えたDX(デジタルトランスフォーメーション)に着手し、その一環としてRPAを導入をしています。

経理部門では従来、ひと月あたり約120社から届く請求書の内容を、会計システムとSalesforceに手入力で対応しており長時間かかる作業でした。

そのため、請求書対応業務の中でも時間のかかっていた、Salesforceへのデータ入力作業に自動化を適用しました。

その結果、月平均で500件強生じる処理を置き換えることができ、年間300時間相当の人的リソースの創出に成功しました。また、請求処理に関する手入力が必要な業務は全廃できる予定です。

事例②:人手不足の建設業界で発揮されるRPAの真価


広島県内で住宅リフォーム事業などを展開する株式会社マエダハウジングは、今までも従業員の生産性向上のため、施工や勤怠などの管理にWebサービスを導入して効率化を図ってきましたが、今回はそれらのデータを自動連係する手段としてRPAを導入しました。

そして、勤務予定と勤怠システム上の打刻との照合や、不一致がある社員への確認・修正依頼のメッセージを送信する業務、リフォームを終えた顧客へ一定期間ごとに送付するハガキの宛先リスト作成作業にRPAを適用し、年間約900時間の業務削減を達成しています。

今後は、RPAの社内開発者をさらに育成し、様々業務に自動化を適用することで継続的な業務効率化を図ることが目標です。

事例③:開発運用支援を得て業務拡大に伴う事務負担を軽減


東京・二子玉川や日本橋などで商業施設を運営する、高島屋グループの東神開発株式会社は、事業拡大に伴う本社業務の増大を受け、PC上の定型作業をソフトウエアで代替するRPAに着目し導入しています。

これまで手作業で行っていた「テナント900店舗への請求業務」「前日売上の集計」等の営業事務や経理、財務部門で実施している130業務に自動化を適用しました。

その際に、ロボット開発は社外のエンジニアを活用し、内部担当者は自社に適した対象選定や運用の策定に専念するルールを作り、分業で作業ができるようになりました。

導入効果としては、年間8,000 時間相当のリソースを創出し、人件費換算でRPA の導入・運用コストを上回る効果を得ているほか、RPA適用時に実施する業務の可視化にて「必要性の低い」業務が明らかになり、廃止することでも余力の創出に成功しています。

今後は、基幹システム更改時の対応など、得られる知見をグループ内外に共有しRPA導入を進めていくとのことです。

事例④:毎月約1,500件の請求書入力業務の9割をRPA化


佐賀県を中心に複数の事業所を持ち、建築事業などを手がける株式会社中野建設は、もともと社内でExcel VBAを活用し、積極的に業務の自動化に取り組んでいます。

しかし、請求書や予算書など、紙媒体のデータを該当システムに手入力する際のミスや、そのミスの修正・確認に多くの時間が費やされていたほか、複数拠点で同じ作業を重複して行ってしまうなどのミスが起きていました。

そこで、RPAとAI-OCRを組み合わせて活用すれば、これらの課題を解決できると考えRPAを導入。

導入効果として、7人の担当者が1日がかりで入力しなければならず、時間がかかる上に入力ミスが許されないことから心理的な負担も大きい作業だったものが、RPAに置き換わることでリソースの創出はもちろんのこと、精神的な負担からも解放されました。

そして、工事原価月報の保存など他の定型業務自動化も進み、1年で定型業務の1割にあたる1,400時間の労働時間削減を達成。引き続きRPAを用いて業務効率化を行う予定です。

事例⑤:「誰にとっても分かりやすい操作性」のツールで内製化を目指す

不動産RPA事例


「ライオンズマンション」で知られる株式会社大京は、グループ各社の働き方改革を推進する狙いから2017年、RPAによる生産性向上に取り組み始めました。

当所、開発に関してはITベンダーへ任せる予定でしたが、業務知識が重要となるRPAを早期に普及させるために、完全内製化を目標とし社内研修なども実施。

その結果、ロボット1体だけで年間2,000時間以上の効率化を図れたケースもあり、近々稼働を予定しているロボットも合わせて、年間約4,700時間相当の人的リソース創出が見込まれています。

ここまで、不動産業界の導入事例を紹介しました。下記資料では、他業界の活用事例も紹介していますのでぜひダウンロードしてご覧ください。

RPAを効果的に活用するための3つの注意点

RPAを効果的に活用するための3つの注意点_画像


RPAを導入してから、効果的に活用するための注意点を3つ挙げて解説します。

誰もが使えるツールを選定する

不動産業界は他の業界に比べるとデジタル化があまり進んでいない業界です。

そのため、ITやプログラム知識を持つ従業員は少ないことが想定されますので、RPAを導入する際は、従業員の「だれもが」利用できるツールかどうかを確認する必要があります。

この確認を怠ってしまうと、導入してから効果が出るまでに時間かかってしまい、最悪のケースではRPAの導入がストップしてしまうリスクがあるため注意が必要です。

RPAツールを導入する際は、無料ライセンスなどのサポートを利用し、「非エンジニア」のメンバーでも利用できるRPAツールを選定しましょう。

運用体制について明確にしておく

RPAを導入し継続的かつ効果的に活用するための取り組みや体制を整えておきましょう。

そのためには、エラー発生時の対応や新規ロボットの開発担当など、各役割をピックアップしておくことと、その役割の担当を決めておく必要があります。

ただし、各役割の担当者は全て自社でまかなう必要はなく、内容によってはベンダーのサポートを利用し、運用体制を構築するのも一つの案です。「どこまでを自社で対応し、どこからをベンダーに依頼するのか」を切り分け、無理のない運用ができるよう検討しておきましょう。

スモールスタートで開始すること

定型業務が多く、IT化があまり進んでいない不動産業界だと、RPAを導入する事で工数削減できる業務が多くあります。

しかし、導入初期から自動化の範囲を広げて一気に進めることはおすすめできません。

導入当初の慣れてない期間では、RPAを上手く使えない可能性がありますし、効果が出るまでに時間がかかることで、RPAが使えないと判断されプロジェクト自体がストップしてしまう可能性もあります。

はじめは、失敗しても問題ない業務や分岐がないシンプルな業務から自動化の適用を進め、成果を積み上げていきましょう。

そこから、安定した運用ができるようになったタイミングで、適用範囲を拡げ他システムとの連携や、少し複雑な業務の自動化を開始することを推奨します。

不動産業界にも強いRPAツールをお探しなら

BizRobo!


不動産業界でRPAツールをお探しなら、手厚いサポートを準備しており、初心者にも優しい「BizRobo!」を、おすすめします!

「RPAを効果的に活用するための3つの注意点」で解説した「誰もが使えるツール」「運用体制の構築」「スモールスタートで開始する」の条件に合致しているため、効果的なRPAの活用ができます。

また、ITに詳しくない方でも活用できるよう、以下のような手厚いサポートを準備しています。

サポート①:専任体制で運用を支援

RPAは導入することがゴールではなく、ロボットを開発し運用や保守を継続的に実施する必要があります。そのため、その運用を実施する体制を整えることが重要です。

BizRobo!であれば、専任の支援体制はもちろん、これまで10年以上にわたり蓄積してきた開発のTIPSや推進のコツをシェアしながら、伴走支援いたします。

サポート②:BizRobo! eラーニング

BizRobo!では、今までRPAに関わってない方でもRPAの導入メンバーとして活躍できるよう、学習環境として「BizRobo! eラーニング」を準備しています。

ロボット開発エンジニア用のeラーニングから、経営者向けのeラーニングまで「RPAへの関わり方」別に学習コースが準備されているため、体系的に学ぶことができます。

サポート③:BizRobo! TV

ロボットの開発を準備する手順の動画や、実際にロボット開発をするときの技術動画などが投稿されているため、繰り返し学習することができます。

サポート④:BizRobo! LAND Community

BizRobo! LAND Communityとは、同じBizRobo!を利用しているユーザが会社の枠などにとらわれることなく、情報の共有や開発の相談などができるオンラインコミュニティサービスです。

開発に躓いたときに相談することで、ヒントを得ることができます。

サポート⑤:BizRobo! knowledgeBase

BizRobo! knowledgeBaseとは、今までBizRobo!が10年以上の経験から蓄積した豊富なナレッジを閲覧できるサイトです。

こちらも、開発に迷った時やトラブル時などはBizRobo! knowledgeBaseを確認することで解決策を見つけることができます。

まとめ

今回は、不動産業界でRPAを導入するべき理由や、活用するポイント、そして導入事例について解説をしました。

不動産業界では、定型作業が多いにも関わらず、あまりIT化が進んでいないため、RPAを導入することで大幅な業務効率化が見込めます。

そのためには、今までの業務プロセスを見直し「RPAでの効率化」を前提とした内容に変更する必要があります。

「今は問題なく実施できている業務」を変更するには、覚悟や労力が必要ですが業務効率化の恩恵を得るために注力していきましょう。今回の記事が、RPA導入の一助になれば幸いです。

【出典】
※1 不動産業ビジョン2030|国土交通省