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RPA(Robotic Process Automation)は近年、多くの組織で業務効率化や生産性向上のために積極的に導入されています。
しかし、導入した企業の中には「思ったよりも効果が出てない」「自動化前よりも手間がかかっている」など、うまくRPAを活用できていないケースが散見されています。
なぜ、上手く活用できないケースが出てくるのでしょうか。
原因の一つとして考えられるのが、「RPAを適用する業務の見極め」が出来ていないということです。
今回の記事では、RPA利用者としての実践的な視点から「RPAに向いている業務」について解説します。
これらの内容が、業務プロセスの効率を向上させる方法のアイデアや、効率的な働き方への一助になれば幸いです。
目次
RPAの特性
それでは、RPAに向いている業務を知るために、まずは「RPAの特性」から解説していきます。
RPAは各ベンダーが提供しているツール(ソフトウェア)を利用し、定型的な業務プロセスを自動化するテクノロジーです。
製品にもよりますが、RPAツールは「ノーコード」で開発を進める事ができるため、プログラムの知識が無くとも利用が出来ます。
RPAの特性①
RPAの特性、一つ目としては「ルールが定義されている業務の自動化が得意」なことです。
例えば、「基幹システムにデータを入力し登録する」という業務プロセスがあった場合、一つ目の手順としてRPAツールは自動化の対象とする「基幹システムの画面」を読み込みます。
その際に、RPAツールは各ボタンや入力欄などが画面上のどこに設置されているのか等の情報を「要素」として認識し取得します。
その「要素」をRPAツールは記録しているため、同じ業務プロセスであれば品質を落とすことなく同じクオリティの作業を何度も実行することができます。
しかし、ルールが定義されておらずクリックする箇所が作業ごとに変わるような業務プロセスの場合、RPAツールが記録している要素が作業ごとに変ってしまうため、自動化の対象業務とすることが出来ません。
そういった特性があるため、ルールが定義されてる業務プロセスの自動化が得意です。
RPAの特性②
特性の二つ目として「複数のアプリケーション間を横断した自動化が得意」です。
例えば、マクロなどを利用した自動化を進めた場合、基本的にはExcelアプリケーションでの自動化に特化した内容になりますが、RPAの場合は特定のアプリケーションには縛られず、複数のアプリケーションを横断したような自動化を実現することができます。
例えば、メールアプリケーションで受信した件名や本文などをデータとして取得し、別のWordファイルやExcelファイルに転記するなどが可能です。
RPAが適している業務の特徴
それでは、上記の特性をふまえて「RPAに適している業務の特徴」について解説していきます。
大きく分けて4つありますので、それぞれ解説していきます。
特徴①:業務フローが定義されている業務
業務フローが明確に定義されている業務がRPAには向いています。
また、業務プロセスのフローが一本道ではなく分岐が発生するような業務だったとしても、その分岐先の手順が明確なのであれば、RPAに適しています。
苦手とするのは、「毎回違う手順が発生する」「人の判断が必要になる」「想定しきれていない手順がある」などです。
特徴②:繰り返しを必要とする業務
RPAは何度も繰り返しが必要な業務プロセスの自動化に適しています。
例えば、データ入力、情報の抽出、レポート生成、請求書の処理など、同じ手順を一貫して繰り返すような業務プロセスは、RPAが「要素」を特定して実行するため、同じ品質で自動化することができます。
また、人が作業する時は「疲れ」や「慣れ」によりヒューマンエラーが発生するリスクがありますが、RPAであればヒューマンエラーのリスクを低減できます。
特徴③:大量のデータエントリーや処理が必要な業務
RPAは大量のデータを扱うような業務プロセスの自動化に適しています。
例えば、基幹システムへのデータ登録や請求書作成などの作業があった場合、人が手で実施するスピードよりも、、はるかに早く正確に処理できるのがRPAです。
そのため、大量のデータエントリー処理があったとしてもミスなく処理を進める事ができます。
また、人とは違い労働時間の概念もないため、深夜や早朝などの業務時間外でも継続して処理を続けることが可能です。
特徴④:複数のアプリケーション間でデータ連携する必要がある業務
ツールにもよりますが、RPAは特定のアプリケーションに縛られることなくデータ連携し自動化を実現できます。
例えば、営業部などが纏めたExcelファイルのデータをファイルサーバからダウンロードし、別部署のメンバーが基幹システムへデータ登録するなど、色々なアプリケーション間を横断した自動化が行うことができます。
RPAが向いている具体的な業務の例
では、続いてRPAはどんな業務プロセスに適用ができるのか、具体的な業務例を挙げて解説していきます。
自社でどの業務をRPA化しようか悩んでいる方がいたら、チェックしてみてくださいね。
業務例①:請求書の各処理
RPAはプログラムした内容を誤差なく処理を進めていくため、正確さが重要な請求書関連の処理についてRPAでの自動化に向いています。
また、請求書作成の作業であれば決まったフォーマットへの入力作業が主になるので、そういった定型作業もRPAが得意とするところです。
具体的にRPAで自動化できるプロセスとしては、顧客データベース、注文データベース、在庫管理システムから請求に必要な顧客情報、商品/サービスの詳細、価格、数量、税金、支払い条件などを取得し、請求書のフォーマットへ転記するところまでを自動化出来ます。
業務例②:日次・週次・月次レポートの作成
削減工数としては多くはないものの、地味に手を取られてしまう作業として各タイミングで実施するレポート作成があります。
こちらも、定型作業であることが多いため、RPAに適している業務になります。
具体的には、販売データ、在庫情報、収益データ、顧客情報などのデータをデータソース(データベース、エクセルファイル、基幹システムなど)から収集し、決まったフォーマットへ転記するまでを自動化できます。
そこから、各データを参照したコメントなどは人が実施するといった内容での自動化が可能です。
業務例③:在庫管理
WebサイトやECサイトなどを運営している場合、機会損失を防ぐためにも財貨管理は重要な業務プロセスになります。
RPAであれば、商品数が多くても問題ないですし労働時間に縛られずに在庫確認ができるため、在庫の動きが少ない深夜や早朝に確認をすることが出来ます。
具体的なRPAの適用範囲としては、在庫管理アプリケーションにログインし、あらかじめ設定していた閾値を下回った場合はメールでアラート連絡や、仕入れる数を毎回同じに出来るのであれば、仕入れまでRPAで実現することができます。
業務例④:データエントリーとデータ抽出
例えば、金融系の業務であれば顧客に関連する口座の開設、融資の審査、取引記録の処理などの状況に応じた対応が必要なケースがあります。
その場合、RPAであれば基幹システムから顧客に関連するデータを対応条件で絞りデータを抽出することで後続の処理を効率化することができます。
また、データ抽出先のフォーマットをあらかじめ整形しておけば、そのファイルをそのままレポートとして使用することも可能になります。
RPAを導入した具体的な適用事例
続いて、RPAが適用された事例を業界ごとに紹介していきます。
自社と同じ業界の事例があれば、ぜひ参考にしてみてください。
事例①:<製造> チェックする事務系作業を自動化
栃木県小山市に本社を置くギガフォトン株式会社は、2000年に建設機械大手・コマツ(株式会社小松製作所)の培ったレーザ製品技術開発している会社で、ITを使って業務改革を行っていこうというミッションのもと、立ち上げた「改革推進部」の活動の一環でRPAを導入。
生産部門・カスタマサポート部門・開発部門・IT部門等でRPAを活用しており、稼働するロボットの数は約60体にまで拡大している状況。
具体的なRPA適用業務としては、例えば開発部門で実施している「パラメーターを変えて、シミュレーションソフトでひたすら処理を行うような業務」があり、これまでは人間が行っていたが、現在はRPAに代替えし運用を実施している。
また、人間だととてもやりきれなかったようなチェック作業もロボットだと気軽に任せられ、単純な繰り返し業務をBizRobo!に代替したことで、社員がより複雑で付加価値の高い業務に時間を割くことができるようになり、大きな成果が出ている。
事例②:<インフラ> 「手が回らなかった」新規業務にもRPA投入
愛知県東部と静岡県西部で都市ガスを供給する中部ガス株式会社と、東海地方でLPガス事業を展開するガステックサービス株式会社は、両社を含む「サーラグループ」全体での業務効率化を目指して、RPAツールを導入した。
現在、ロボット化が完了している作業は「気象庁のWebサイトからLPガスの需要予測の資料となる気温データを取得」「リフォーム施工履歴をExcelから業務システムへ登録」「口座振替の結果をERPからリストで取得」「官公庁への届け出が必要な状況の有無を業務システム上で監視」など約20種類の業務プロセスの自動化を実施。
また、既存の業務を置き換えるだけではなく、従来人間の手が回らなかった作業についてもRPAを活用し、さらなる業務効率化を図っている。
事例③:<サービス> 社内SNS情報を収集し「kintone」に統合
中小事業者向けのOnline to Offline(O2O)ソリューションの提供を伴うWebサイトの企画・制作、Webマーケティング等を主事業とするサングローブ株式会社は、基幹システムの導入やデータの統合が短期間に遂げた企業成長に追いついていないという思いから、社内SNSとCRM(顧客情報管理)システムの間のデータ連携を自動化すべくRPAを導入。
具体的な処理内容としては、主に社内SNSに投稿された顧客情報を集めCRM(顧客情報管理)や、業務改善プラットフォーム「kintone」に統合し、その情報をインサイドセールスの商談などに活用している。
RPAの向いている業務の見極め方
ここまで、RPAに向いている業務や業務事例などを解説してきましたが、次は実際に自動化の対象業務を選定する時の見極め方について、以下の3点を挙げて解説をします。
業務の可視化
自動化を推進していく上で「業務の可視化」は一番大事な手順です。
日常的に行っている業務を洗い出して「作業手順」や「エラー想定」などを明確にする作業ですが、業務を可視化していない場合「その業務がRPAに向いているか」が判断できません。
例えば、何となく時間がかかっているという記憶で、可視化せずRPAを進めてしまうと、実は「RPAでは自動化できない作業がある」や「人の判断が必要な作業」が出てきてしまい、思っているよりも自動化範囲が狭くなることで「効率化の低い活動」になってしまうことがあります。
そのようなことを防ぐためにも、まずは業務プロセスを可視化し自動化に向いているか見極めることが、業務効率化の最大の近道です。
ボトルネックとなる部分の見つけ方
次は、可視化した業務プロセスの中にボトルネックとなる部分がないかの見極めをします。
以下のポイントに注意し見極めを行います。
・判断が必要なもの
RPAは自身で判断して業務を進めることはできないため「何かしらの判断が必要」な業務については、ボトルネックとなります。
例えば、請求書の作成をする業務がありデータの取得から請求書の作成を実施し、作成後の承認が必要な場合、この承認部分がRPAでのボトルネックとなります。
この承認作業があることで、一貫した自動化が行えず効率化の効果が下がってしまいます。
・例外の多い処理
ルールが定義されている業務については、RPAに向いていますが例外処理が多く発生する場合は、そこがボトルネックとなり自動化が難しくなります。
例えば、在庫管理などで閾値を下回りエラーが発生した時の対応でAという状況であれば、Bという対応をするなど、状況ごとに対応が決まるプロセスである場合はRPAに向いていません。
・頻繁にルールや仕様が変わる
RPAで自動化できるような業務であったとしても、頻繁にルールや画面の仕様などが変わる業務については、そこがボトルネックとなりRPAには向いていません。
無理に自動化を進めることは可能ですが、ルールや仕様が変わった時に毎回、メンテナンスが必要となるため、結果その工数が増大していくリスクがあります。
RPAの向いていない業務から向いている業務への転換方法
ここまでボトルネックについて解説しましたが、ボトルネックを解消できるのであれば「RPAに向いていない業務から、向いている業務へ転換」させることができます。
昔からある作業手順は「不要な手順」が存在していても改修されず残っているケースがあります。
そのような手順をRPAの導入タイミングで洗い出し、ボトルネックとなっている部分を解消することで効果的な自動化が行えます。
また、承認作業などはロボット化後に品質を確認しながら、徐々に確認の頻度を減らし最終的には月に一度の確認だけにするなど、プロセスを変更することで効果的な自動化が行える可能性もありますので、ボトルネックの解消に目を向けることも大事です。
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まとめ
今回の記事では、RPAに向いている業務はどんな業務なのか、その業務を見極めるためのポイントについて解説をしました。
・RPAの特性
・RPAが適している業務の特徴
・具体的な業務例
・具体的な適用事例
・向いている業務の見極め方
RPAは言葉だけが先走ってしまい、どんな業務に適用すれば良いかなどの情報がまだまだ一般化していないのが現状です。
解説した内容を参考にしていただき、RPA導入への戦略的な意思決定の一助になれば幸いです。