BizRobo! ブログRPAの開発や運用に役立つ情報を配信
「今よりもスムーズに業務を進めるために、DX事例を探している」
「DX推進のひとつとしてRPAを検討しているが、どのような業務ができるかわからない」
といったお悩みを抱えている方は、決して少なくないのではないでしょうか。実際、生産性を高めるために働き方改革やDX推進に取り組んでも、成果に結びつけるのはなかなか難しいのが現状です。
今回は、先日実施した「【ハウスメーカー工務店×RPA】年240時間分の作業削減を達成するRPAを活用したDX実現セミナー」のレポートを通じ、ハウスメーカーでのRPA活用事例やその効果についてお届けしていきます。RPA導入検討中の方、DX推進ご担当者の方などはぜひご一読ください。
ライター紹介
- 長澤 史佳(ながさわ ふみか)
- 大学在学中に「ハフポスト日本版」と「Forbes JAPAN」にて記事執筆・編集・翻訳などを経験後、新卒で株式会社PR TIMESに入社し、PRプランナーとして化粧品メーカーや食品メーカーを担当。2022年よりRPAテクノロジーズ株式会社に入社し、コンテンツ企画や広報を手掛ける。
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協和建設起業でRPAを導入したきっかけ
名古屋に拠点を構える総合ハウスメーカー、協和建設起業株式会社。近年は公共事業にも参加し、2021年にはDX事業部を立ち上げました。2018年、RPAを導入したきっかけは「現場監督に現場に集中してもらうため」。現場監督は現場での管理・監督としての仕事以外にも多くの事務作業を抱えています。ほんの一例ですが、原価管理や工程管理、図面チェック、部材発注など… 現場での仕事が終わった後に会社に戻り、事務作業に何時間も費やすことも少なくありません。
その中でも実行予算作成には手間がかかっており、協和建設起業の場合は1物件あたり4時間ほどかかってしまっていました。現場監督が担当するにはボリュームが多すぎるため、人的リソースを鑑みてパートさんに担当いただくようになりました。しかし、現場の知識が不足しているため、発注書の見落とし、わからない内容を現場監督に電話で聞く手間、ミスが頻発して協力会社から指摘を受けるなど、課題が多い事務作業でした。
どうしたら、現場監督が現場に集中できるのか。検討を重ねた結果、RPAの導入を決断しました。社長も早い段階でRPAを理解し、現場監督の期待値も大きい状態でした。
協和建設起業で実際に開発したRPA事例
実行予算作成ロボ
最初に取り掛かったのは、先述の通り大きな負担となっていた実行予算作成ロボです。そもそも実行予算とは、工事現場ごとに契約金額の範囲内で原価を組む予算のこと。すなわち、実行予算は工事原価管理の重要な指針となり、建設業では欠かせない予算です。重要な予算作成の開発では、下記の手順で進めていきました。
まずは業務の棚卸しを行い、その後にロボ開発向けの手順・仕様に変更していきました。開発準備が整ったら、ログイン→発注書ファイルダウンロード→Excelに変換→発注書から文字列検索・文字列抽出・Excel転記などを繰り返し、実行予算作成→社内向けシステムに入力の順序でロボットを作成しました。同時に協力会社に渡す明細も自動で作成しました。
実行予算作成ロボができた結果、現場監督だけでなく、誰でも実行予算を作ることが可能となりました。作業時間は4時間から1時間に短縮され、人手不足の解消・ミス削減にもつながっています。さらに、このロボットはコロナ前に開発が完了していたため、コロナ禍でもテレワークで実行予算の作成ができました。
図面自動ダウンロードロボ
次に紹介するのが「図面自動ダウンロードロボ」です。ブラウザ上から図面を自動でダウンロードするロボットで、ログイン→対象図面検索→ダウンロード→ファイル名変更→協力会社へメール・FAXで送信の手順で進んでいます。
実行予算作成ロボと比べるとシンプルなロボットですが、従来は1邸あたり30分かけていた作業が5分にまで削減されました。
勤怠管理ロボ
他には、勤怠管理ロボも作成しました。従来、社員はExcelに入力、協力会社さんの勤怠はFAXやメールにてご報告していただいていました。そのため、集計に時間がかかっており、社員も協力会社さんも一元管理できる勤怠管理ロボを開発しました。
これは現場からスマホを利用し、メールで入退場時間(必要があれば位置情報も可能)を送信、それをExcelやシステムに自動入力する、というロボットです。月に一度とはいえ、今まではストレスになっていた勤怠管理が自動化され、担当社員の大きな助けとなっています。
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RPA導入など、DX化による効果
DX推進の効果として、まずは目的としていた現場監督・職人の過重労働が解消されました。事務作業が自動化されたことで、それぞれがやらなければいけない仕事に集中でき、専門能力が発揮されています。建築の世界では現場での事故や怪我も多く、パソコンを使う事務処理を減らし、より専門能力を発揮できる環境を作ることが大切だと改めて認識しました。
また、DX化は人手不足の解消にもつながると考えています。とあるレポートによると、2030年には、建築業界では3万人の人手不足が予測されています。職人さんが高齢化しており、後継者不足の中でDX化を進めることで事務作業の負担を減らしていくことができます。
さらに、2021年、協和建設起業ではDX事業部を立ち上げました。新型コロナウイルスの感染拡大により建設業は大きな打撃を受け、協和建設起業の売り上げも減りました。業績は徐々に回復していきましたが、建設業の他に軸となる事業を立ち上げ、社業を安定させたいと考えるようになりました。
どのような事業を立ち上げるのか、様々な事業を考えましたが、本業である建設業に関わりがある・同業者の助けになる・当社での実績がある、という視点で考え、RPA導入推進を中心とするDX事業部を立ち上げました。DX推進に悩まれているハウスメーカーさまがいらっしゃいましたら、ぜひご連絡ください。
スムーズなRPA導入を実現する業務整理方法
ここからは、株式会社シイエム・シイが提供する業務フロー可視化ツール「KAIZEN FARM」についてご紹介します。まずは、RPAを導入前に何をすべきなのかを説明します。
前述の通り、RPAは業務効率化を実現してくれる便利なツールです。ただ、導入すればすぐに業務効率が実現されるわけではなく、計画・準備があってこそ効果を発揮します。計画を怠ってしまうと、導入したとしても現場で役立ち、費用対効果に見合うような効果が出せません。現場の実態調査をしっかりと行った上で、その業務をどうしたらRPA化しやすくなるかを考えましょう。
株式会社シイエム・シイでは、業務の整理・分析・改善を一気通貫してサポートするツール「KAIZEN FARM」をご用意しております。業務手順を簡単に登録でき、登録した業務は自動で分析されます。また、計画書の作成と各種サポートセミナーもご用意しておりますので、RPA導入を検討されていましたら、ぜひ一度ご使用をご検討ください。
この記事のまとめ
- ハウスメーカーで現場監督の大きな負担となっている実行予算作成も、ロボットに任せることで大きな負担減となる
- 職人さんの高齢化などで人手不足が懸念されている業界にとって、RPAは大きな戦力になりうる
セミナー完全版につきましては、ぜひ下記からオンデマンド配信をお申し込みください。より詳細な説明に加えて、質疑応答などもご視聴いただけます。
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また、今後もWebセミナーやすでに実施したセミナーのアーカイブ配信もご用意しております。ご不明点やRPAについてご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
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